#12 図書館 4
夜が更けるにつれ、霊異研究部の調査は続いていた。清水は手にした録音機で空気中のかすかな音を捕らえ、長谷川はスマホで周囲の音を録音し、何か異常なものを探そうとしていた。はっきりとした霊異現象は起こらなかったものの、全員が心の中に不思議な圧迫感を感じていた。
「有馬、何か感じた?」と、中村が小声で尋ねた。彼もまた、スマホでこの瞬間を記録していた。
有馬は首を横に振った。周囲の空気が徐々に冷たくなっているのは感じたが、何が起きているのか具体的には分からなかった。「ここは…全てが妙だわ。何かが近くにいるような気がするけど、はっきりとは分からない。」
「このままでは、有益な情報は得られないかも…」と、清水が小声で言ったその時、彼のイヤホンから奇妙な音が聞こえてきた。「ちょっと待って!これを聞いて。」
彼はすぐにイヤホンの音量を上げ、全員の録音機に繋いだ。イヤホンから流れてきた音は、みんなの集中力を一気に引きつけた——それはかすかな囁き声、明瞭ではないが確かに存在していた。音は遠くから聞こえるようにぼんやりと混ざり合い、内容を理解するのは困難だった。
「これ…前に聞いた音と同じだ!」と、有馬は驚いて清水を見つめた。
「面白いものを手に入れたみたいだね。」と、中村は微かに眉をひそめながら、イヤホンから聞こえる音に考え込んでいた。「奇妙な言語のようにも、何かの残響のようにも聞こえる…?」
長谷川は興奮した様子で近づき、「これで間違いないよ!私たちの調査は正しい方向に進んでる!有馬の体験は、きっとこの奇妙な音と関係があるに違いない!」
「でも、これらの音って一体何なの?」と、神崎は少し後退し、疑問と不安の表情を浮かべた。「まさか本当に…霊の声なの?」
「まだ確証はないけど、この録音は重要な手がかりだよ。」と、中村は冷静に分析した。「次はこの音の出所をもっと詳しく調べる必要がある。」
清水は再び機材を調整し、音の出所を探ろうとしていた。するとその時、再び空気中に囁き声が響いた。今度は録音機だけでなく、全員がはっきりと聞き取ることができた。
「今、聞こえた?」と、有馬は緊張しながら問いかけた。心臓が一気に高鳴った。
他のメンバーも次々と頷き、表情は一層真剣になった。囁き声はさっきよりも明瞭だが、依然として意味が掴めない。音は図書館の奥深くから来ているようでもあり、どこからともなく響いてくるようでもある。「行ってみよう!」と、長谷川は抑えきれない好奇心に駆られ、音の出所に向かって足を進めた。
有馬は少し不安を感じたが、この霊異事件に深入りすることを既に決めていた。彼女も真相を知りたかった。神崎は小さな声で自分を励ましながら、みんなの後を追ったが、心の中には未知への恐れが渦巻いていた。
彼らは音のする方向にゆっくりと近づき、長い廊下に辿り着いた時、囁き声が一層明瞭になった。周囲はしんと静まり返り、足音とその囁き声だけが交錯し、時空がこの場所で止まったかのような不安な雰囲気が漂っていた。
「ここが、あの時に消えた場所?」と、中村は周囲を見渡しながら、顔を引き締めた。「今、私たちが感じているものは、あの時の力の源かもしれない。」
有馬は頷き、心を落ち着けようとした。「その時、何かが私を引き寄せているように感じたわ。怖かったけど、抗えなかったの。」
その時、廊下の端で微かな光が一瞬だけ点滅し、冷たい風が一陣吹き抜け、全員の心が凍りついた。
「今の光、見た?」と、神崎は震える声で言い、全員がその光に目を凝らした。
長谷川は深く息を吸い込み、勇気を奮い立たせた。「行ってみよう!あの光が、何かの手がかりかもしれない!」と、彼女の声には確かな決意が込められていた。
五人は慎重に光の元へと近づき、緊張と期待が入り混じった心境で進んでいった。光の近くに到達すると、半透明の影が見えた。それは、地面に座り、頭を垂れている少女のようで、黒い猫耳の帽子がかすかに見えた。
「これが…猫耳女?」と、有馬は胸の高鳴りを抑えきれず、目の前の光景が信じられなかった。
その影は、彼らの存在に気づいたかのように顔を上げた。暗闇の中で輝くその瞳には、何とも言えない感情が宿っていたが、一方で寒気を感じさせるものがあった。彼女は何も言わず、ただ静かに彼らを見つめていた。
「あなたは誰?」と、長谷川は小さな声で尋ねた。ほとんど聞こえないくらいの小ささだった。
影は相変わらず何も答えず、ただ微かに首を振り、図書館の奥を指さしたかと思うと、空気の中に消え去った。その瞬間、冷たい風が一気に吹き抜け、全員に不安の影を落とした。
「どうするの?」と、神崎の声には動揺が混じり、顔はさらに青ざめていた。
「追いかけるしかない!」と、長谷川は再び勇気を奮い立たせ、神崎の手を引いた。「彼女が、真相への道を指し示してくれているのかもしれない!」
清水は録音機をしっかりと握りしめた。「録音を続けるよ。きっともっと情報が手に入るはずだ。」
そして、五人は再び影が指し示した方向へと進み、期待と恐れを胸に抱きながら歩みを進めた。何が待ち受けているのかは分からなかったが、それが謎を解く鍵だという予感はあった。
次第に廊下はさらに暗くなり、空気は一層不気味な圧迫感で満たされていった。一歩一歩が未知の深淵へと踏み入れていくようで、恐怖と興奮が入り混じる中、彼らはさらに深い闇へと向かって歩き続けた……。
霊異研究会 紅月(あかつき) @yuniAkatsuki
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