食べたい、食べさせたい。あたたかな、思い出と一緒に召し上がれ。

 こちらのご著作の作者様がお子さまでいらした頃、ご家庭では普通におやつとして出て来るものが、出て来ませんでした。

 いわゆる、既製品のお菓子ですね。
 作者様のご家庭にはお父様のご職業から、安全性を保証されたものを召し上がるという不文律のようなものがございまして、ご家族の皆さんはそれを理解しておられたのです。
 そして、お母様がこれまたなんでも創造してしまわれるのでは、というお料理名人だったのです。ご家庭でのお料理はもちろん、おやつまで。

 なんとなんと、お友だちのおうちで作者様と運命的な出会いを果たされた、憧れのポテトチップスまで、手作りです。
 センチかミリか、の厚みにまでこだわるお母様の姿勢。
 お子さま時代の作者様の、おいしいよ……お母さん……だけど……コレジャ……ナイ……。のお気持ち描写も、みどころでございます。

 実は、意外な形で作者様は既製品のポテトチップスと再会されます。みんなが知ってる、有名な、あのポテトチップス、です。それも、なんとまあ、ご家庭で、なのです。

 どうしてそうなったか。そして、ご自身がお母様となられました作者様のご心境、ラストの部分。ぜひ、皆様もご著作で確かめて頂けたらと存じます。
 できましたら、お好きな既製品(これが大事です!)をご用意なさってください。
 何故か? 食べたく……なるからです!

 タイトル、内容、ご自身の思い出、そして、お母様となられた現在のご自身。
 楽しいエッセイとはこうである。読んだら、誰かにすすめたくなる。
 素晴らしいエッセイです。

 ほんとうに、ごちそうさまでございました。
 ぜひ、ご覧ください。
 

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