醜くも美しいはぐれもの同士の移ろい

右半身が醜くく焼けただれた少年と人を喰う美しい鬼の少女。
二人ともどこかずれていて、すれていて。同じ孤独を抱えている。
そんな二人の短くも尊い時間が、美しい四季の移ろいとともに描写されていきます。

心を通わせていくほど、人間と異形の絶対的な障害が顕著になって、切ないです。
優しくも残酷な時の流れ。
止めることはできないけれど、なにもかも諦めて終わってしまうはずだった少年に芽吹いた気持ち。
それはやっぱり美しいと思いました。
切なさの残る余韻も魅力的です。
改稿版前の作品を読んでとても印象深かったので、また読めてうれしいです!

仄暗いけれど、どこか温かみもあるダーク和風ファンタジー。
おすすめです!

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