概要
幼き日の記憶を追い、青年は何を手にしたのか
百年前の黒死病から時が経ち、アイリア人の国土が回復し始めた頃、北部を治めるデール人の諸侯の中から王を名乗る者たちが現れ、アイリア人に対して反乱を始めた。反乱は十年経てども収まらず、その間にアイリア人の王子は何者かに毒殺され、怒りに燃える王は戦場で戦死した。第二王子は王位継承権を捨てて行方を晦まし、幼い第三王子がその王位を継ぎ、その母たる王妃が彼の摂政となった。
デール人の反乱戦争開始から十二年、未だ終わらぬ戦争の中、北部との境界から実に四百マイル離れたエルランの町でフィリップという貴族の青年が南へ向かって出発しようとしていた。
デール人の反乱戦争開始から十二年、未だ終わらぬ戦争の中、北部との境界から実に四百マイル離れたエルランの町でフィリップという貴族の青年が南へ向かって出発しようとしていた。