そもそも私は悲恋が好きでして、しかもちょっとこじらせているやつ。そして、作家としての部分。リアリティを追求しようと思うと少なからず誰かの影が重なる。自分の意思で生きているようで故人にからめとられていることを、美談ととるかホラーととるか。この割り切れなさをしっかり書いていて面白かったです。
忘れられない人、忘れたくない人。誰にでもそんな存在がいると思います。それが道を照らす標となれば、きっと私たちはより楽に生きていけるのでしょう。しかし、現実の闇はどこまでも深くて、人はみな迷いながら歩み続けます。強く輝く星さえあれば、進むべき方向を指し示す北極星があれば……たとえ強く願っても、それと出会えるのはとても稀なことです。この作品で瞬く「星」の存在は一つの標として、登場人物のみならず、迷える人たちの胸に宿り、かけがえの無い星との出会いへの一助となるでしょう。
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