【童話版】海の生きもの

すやすや すやすや

人魚にんぎょあかちゃんの こきゅうがこえます


すやすや すやすや

とってももちよさそうに ねむっています


今日きょうも ピンククジラのくには 平和へいわなようですね?



ひょっこり! ひょっこり!

ひょこ ひょこ ひょっこり!


まあるい おめめが たくさん

人魚の赤ちゃんを ひとめたいと

さかなさんが いっぱい

あつまってました


チョキチョキ おおきなハサミの カニさん

パックリ 大きなおくちの フサギンポさん

ニョロニョロ 八本足はっぽんあしの タコさん

ヒョコッと かおす チンアナゴさん


おやおや 人魚の赤ちゃん

おどろいてしまって

いまにも ないてしまいそうですよ?


そこで

ピンククジラのおうさまは いました


「おいおい そんなにいちどに見たら

アリアが ビックリするだろう?」


すると あつまっていた おさかなさんたちが言いました


「王さま! どうか ボクたちに おひめさまの おせわをさせてください!」


王さまは すこかんがえて言いました


「わかった! では おまえたちのなか

一番いちばん 『ゆう』のあるものと

一番 『おもいやり』のあるものに

アリアの『おせわがかり』をおねがいしよう!」



ギザギザのはをした ホオジロザメさんは 言います


「オレが一番 ゆう気がある!」


すると 白黒もようの シャチさんが 言いました


「いや オレサマが一番だ!」


王さまが言います


「ほかに ゆう気のあるものは いないか?」


すると あなの中から ヒョッコリと顔を出した とってもカラフルな モンハナシャコさんが言いました


「ボク こわいけど おひめさまを まもりたいです!」


それを見て ホオジロザメさんと シャチさんは 大わらいして言いました


「わはは お前みたいなチビが ゆう気があるわけないだろう?」


「そうだ そうだ! オレたちのほうが つよいにきまっている!」


それをいて モンハナシャコさんは言いました


「ボクは弱いけど 『ゆう気』だけは キミたちにまけない!」


そこで 王さまは言いました


「それでは だれが『ゆう気』があるのか ゲームをしよう」


王さまはそう言うと おおきなくちをあけました


「さあ わたしのお口の中に おはいりなさい」


王さまがそう言うと 三びきは

王さまの口の中へ 入りました


すると 王さまの口は

すこしづつ ゆっくりと

とじてゆきます


「うわあ!」


ホオジロザメさんは ビックリして 飛び出してしまいました


「オレはにげないぞ!」とシャチさん


「ボクはにげたい!」とモンハナシャコさん


王さまの口は どんどんとじてゆき

あと少しで とじてしまいそう!


「もうダメだ!」


シャチさんは にげてしまいました

しかし 王さまの口は まりません


バクン! とうとう 王さまの口は

とじてしまいました


ア~ン 王さまは 大きく口をあけて言います


「ゆう気ある モンハナシャコよ アリアのせわを たのんだぞ?」


モンハナシャコは むねをはって言います


「まかせてください!」


王さまは まんぞくそうに うなずくと「つぎは『思いやり』のあるものだ」と言いました


「わたくしが一番 思いやりがあるんじゃないかしら?」


一番にこえを出したのは ながいヒレの ザトウクジラさん


「あらまあ わたしかと思っておりましたわ? モグモグ」


つぎに声を出した 優しい顔の ジュゴンさん コンブをべています


「あ、あの わたしも ひめさまの おせわをしたいです!」


さいごに キレイなもようの入ったタコの ヒョウモンダコさんが声を出しました


「あらヒョウモンダコさん あなたは『どく』をもっているじゃない?」とザトウクジラさん


「そうね? ひめさまがあぶないわ? モグモグ」とジュゴンさん


「わ、わたしの『どく』は わたしのみをまもる『どく』で ひめさまに『きけん』はありません」とヒョウモンダコさん


三びきが 王さまの顔を見ます


「では だれが『思いやり』があるのか ゲームをしよう!」


王さまは そう言うと ケヤリのはなを出しました


「このピンク色の ケヤリの花を アリアだとおもって まもってみせよ!」


三びきは ケヤリの花のまわりに立ちました


「さあくぞ!」


そう言うと 王さまの 大きな 大きな シッポをげて おもいっきりふりおろしました


「きゃあ!」


ザトウクジラさんと ジュゴンさんは 自分じぶんがおしつぶされるとおもって にげてしまいました


しかし 王さまのシッポは止まりません


ビュン!


ケヤリの花と ヒョウモンダコさんは どうなったのでしょう?


王さまが 大きなシッポを ゆっくりと上げました


ヒョウモンダコさんは プルプルとふるえながら 自分のからだをつかって ケヤリの花をまもっていました


王さまは言いました


「思いやりある ヒョウモンダコよ アリアのせわを たのんだぞ?」


ヒョウモンダコさんは ちからがぬけてフニャフニャです

でも なんとか声を出して言いました


「ま まかせてください」


こうして アリアの『おせわがかり』がきまりました


「アリアの『おせわがかり』がきまった! もんくがあるものはまえに出よ!」と王さまが言いました


どうやら だれも もんくはないようですね?


「アリアさま よろしくおねがいします!」おせわがかりの二ひきは言いました


人魚の赤ちゃん アリアは おめめをパッチリとあけて モンハナシャコさんと ヒョウモンダコさんを見ました


するとどうでしよう?


さっきまで なきそうだったアリアが キャッキャ キャッキャと わらい出しました


それを見て みんながわらいます


今日きょうも ピンククジラの国は 平和へいわでした







──────────────

※「平和」以外は小学校二年生までの漢字を使用しております。「平和」は小学校三年生の漢字ですが、覚えて欲しい漢字なので、わざと使用しております。



【童話版】が確定してから【児童小説番】を作成します。悪しからずご了承くださいm(_ _)m


【写真と挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/dark-unknown/news/16818093087505061280

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人魚ひめ【童話・児童小説】 かごのぼっち @dark-unknown

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