第8話 好きな気持ち

その後、リサが「あぁ、タカシ。さっきまで一緒だったんだよね?」と家に帰って来て、ミナヨに話をした。

ミナヨが「あら、良かったわ。リサが寝坊して、タカシ君を待たせちゃったでしょう?タカシ君に何もないのは悪いなって思ったのよ」と笑顔を見せた。

リサが「タカシがね?私のお弁当を一つ渡したら、タカシの友達のタカヤが、愛妻弁当なんじゃないかって冷やかしていたわ」と思い出し笑いをしていた。

ミナヨが「あら?そうなの?そんなにこのお弁当が良かったのかしら?じゃ、今度ご飯にLOVEって書いてあげようか?」とリサを冷やかした。

リサが「もう、そんな関係じゃないのに。お母さんのバカ」とミナヨに指摘した。

ミナヨが「そんな分からないじゃない?タカシ君だってリサの事を気になって居るかもしれないし」と笑って見せた。

リサが「母さんも母さんよ。私の心配より、自分の心配をしたら良いのに」と心の中で思っていた。

翌日、タカシが「あ、リサ。昨日は弁当ありがとう。美味かった」と笑顔で話をすると、リサが「へ?あぁ、おはよう」とよそよそしく話を交わした。

真っ赤な顔をして下を向いたリサが心配で、タカシが「リサ、熱でもあんのか?」とリサとおでこを付けた。

リサが「やめてよ。そんな、熱なんかないわよ。バカ」と視線を逸らして、靴箱に靴を入れて走って行ってしまった。

タカシが「何だよ。アイツ。変な奴だな」とリサを呆然と見ていた。

タカヤが、「どうしたんだよ?リサと何かあったのか?」とニヤけていた。

タカシは「ただ、熱があるんじゃないかって心配で、リサのおでことおでこをくっ付けただけだよ」と焦って言い訳をした。

タカヤが「それだよ。それ。お前は女の気持ちに対して鈍感だから、わからねぇんだよ」とタカシに返事をした。

タカシが「何だよ。それ?」と首を傾げた。

タカヤが「本人に聞いてみたら」とふざけて笑っていた。

タカシが帰りにリサの腕を掴み、「おい、リサ。お前。さっきから俺の事を避けて居るけどどうしたんだよ」とざっくりとリサに理由を聞いた。

リサは「それは、私の母さんが、タカシが私の事を気になって居るんじゃないかって冷やかすから、気になってまともに顔が見れないのよ」と凄いけんまくで話をした。

タカシが「何だ。そんな事か?そんな事ある訳ないって言うか?俺もリサの事を気にはなっているけど、そう言う好きじゃなくて家族の様な好きなんだ」と手で思わず顔を隠した。

リサは「手で顔を隠しても、好きって気持ちは変わらないから」とタカシに背伸びをして口にキスをした。

タカシは、その夜、ドキドキして眠れなかった。

その日リサから「私もドキドキして眠れない」とメールをして連絡を取っていた。

タカシはメールで「俺は、恥ずかしいチキンだから、どうしてもリサの気持ちに気づいてあげられなくて、ごめん。俺ももしかしたら、リサの事を好きかもしれない」と返信した。

リサは「ありがとう。素直な気持ちが聞けて良かった」と嬉し涙を流していた。

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