ケース3 姉弟の痕


「なんでここにいるんだよ」

面会室で俺の前に座っていたのは数年前に家を出た姉だった。

「そりゃあマッチングしたからでしょ」

姉はこの状況をなんでもないかのように言う。


確かに血縁者とのマッチングは結構多い、という話を聞いた覚えがある。やはり安心感があるからだろうか?

しかし俺の場合は別だ。姉とはすこぶる仲が悪かったからだ。


「ああ、マッチングついでに今日から実家戻るから」

「突然何言うんだよ」

いつも姉は唐突だ。数年前に家を出た時も。

結局、姉が使っていた部屋もそのままなので二人で帰路についた。

家に戻るなり姉は「早速する?」と聞いてきたが俺はスルーして自室に戻った。


自室のベッドで横になると過去のことが思い出されてきた。

玩具を壊されたこと。暴力を振るわれたこと。罪をなすりつけられたこと。

思い出すたびムカムカしてくる。

そして、勝手に家を飛び出たこと……


……やめよう。


落ち着くために居間へと向かう。

きれいに片付いていた居間にはお酒の缶やらオツマミの袋が散乱していた。

居間には姉が寝ていた。全裸で、仰向けで。

足はガニ股に開かれ大事な部分が丸見えだ。

「起きろバカ姉」

そう言って蹴り起こす。

「なんで裸で寝てんだよ」

「だってこの方が楽なんだもん」

「変な奴が入ってきたらどうするつもりだよ」

「あれ?心配してくれるの?大丈夫、あんたが守ってくれるから」


俺は全裸の姉に背を向け座り込む。


全くどうかしてる。

俺は姉の裸を見たことで心臓がドキドキしていた。

さっきまで昔のことでムカムカしていたというのに。

コレじゃあただ性欲のことしか頭にないみたいじゃあないか。

そう言えば、俺はなんで拒否しなかったんだろう。


ふと背後から暖かい温もりに包まれた。


「あんたは、あたしのこと、捨てないよね?」


その言葉に振り向いた俺の唇を柔らかいものが覆った。

それは姉の唇だった。


ああ、そうか俺は姉のことが好きだったんだ。

だから勝手に家を出たことが許せなかったんだ。

だからマッチングに不平を言いつつも拒否しなかったんだ。


そして、姉は誰かに捨てられたのだろう。


だから俺にすがってきた。


「姉ちゃん、俺は姉ちゃんのこと、捨てないよ。……だから、姉ちゃんもずっと、死ぬまで俺のそばにいてくれ」


「……うん、ずっとあんたのそばにいるね」


姉は俺の頭を抱きしめ頭を優しく撫でた。

とても、とても懐かしい感じがした。


その晩俺たち二人は姉弟であることも、過去の確執も忘れて愛し合った。


姉はすごく手慣れていて上手かった。俺の稚拙な行為も全て受け入れ、導いてくれる。それが今までの経験の多さを感じさせた。

ふと気になった事を尋ねてみる。

「姉ちゃんのソコ、ツルツルなんだけどどうしたの?」

まさか天然ということは無いだろう。

「ああ、これ?最初の彼氏がこういうの好きで永久脱毛したんだ。男受け良いんだよ」

その言葉に俺は嫉妬を覚え、さらに行為を激しくする。

俺はその嫉妬も情念も精も姉に向かって吐き出した。姉はその全てをその身で受け入れてくれた。

「あんたって絶倫だったんだね。もうお腹いっぱいだよ。こりゃあ妊娠間違いなしだね」


なんの問題もない。

だってここは子育て特区なのだから。

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子作り特区の子作り事情(プロット) 臥龍岡四月朔日 @nagaoka-watanuki

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