異星人による、問題を抱えた惑星の回復プロジェクト。何もかも上手くいく様子もなく、異星人の言うことに乗せられ続けてしまう展開はどこか恐ろしくも感じられた。そしてラストが何よりも面白い。あの結末が少しでも惑星の人々にとって救いであったのなら良かったと思う。
SFには物事を別の物事になぞらえることでテーマを鮮明化する手法があります。誰もが〝このままでは良くない〟と思う事柄を非日常の状況に仕立て直し、よりハッキリと読む者へ提示する。そんな印象を、この作品から受けました。本作は最後に〝そうなるだろうな〟という納得とともに〝人間って、こうだものな〟という残念感があります。良い意味でです。こういう読後感も良いものです。あと、そこはかとなく〝悪魔との取引〟なジャンルの趣きも感じられて、完全に好きな題材づくしであり、楽しめました。