ケース1 優柔不断の僕の場合

ケース1 優柔不断の僕の場合


とうとうこの日がやってきた。

僕のマッチング相手が見つかったと言う通知が来たのだ。

どうやら仲の良い幼馴染もマッチング相手が見つかったみたいだ。

僕はもしかしたら幼馴染とマッチングされるかもと内心ドキドキしていた。

それと同時に幼馴染が他の男とマッチングされることを考えモヤモヤした。


職員に案内され面会室へと向かう。

どうやらマッチング相手は2人いるようだった。

そして面会室につき、相手との間を遮る暗幕が外される。

そこにいたのは……母親と妹だった。


その日は保留とした。

母親と妹と3人で帰路につく。

「なんで寄りにもよって家族となんだよ……」

「それは……あなたがコミュ障で家族以外とまともに接せないから、とか?」

「大体母さんはなんでマッチングなんかしてるのさ」

「えーと、まだ産めるし、もう一人くらい欲しいから?」

「それに妹も、マッチングするには早くないか?」

「私も赤ちゃん欲しい」


そう言えば幼馴染はどうなっただろう?

彼女が他の男と子作り……考えただけで複雑な気持ちになった。


次の日の朝、通学中の幼馴染と挨拶をかわす。

「昨日のマッチング、どうだった?」

幼馴染は少し困ったような顔をしながら

「うーん、今はまだ保留かな」

その言葉に少し安堵する。

ただ、断らずに保留というところには少しモヤモヤした。

マッチングは心が決まるまで保留にすることができる。また、どうしても気に入らない場合は断ることもできるのだ。


それから3ヶ月あまりが過ぎた。

僕は母親と妹、二人の積極的な子作りアプローチを拒否できずに二人と子作りしてしまった。

母親は僕と妹を産んでいるだけあって、色々なことに慣れていた。意外だったのは妹も結構慣れていたことだった。僕は自分の不甲斐なさを実感したけど二人共優しく慰めてくれた。

二人共無事に妊娠したようだ。


幼馴染も妊娠していた。経過期間からみるとマッチングすぐに子作りした計算になる。

あの時の「保留」とは一体何だったのか。

彼女があの時見せた困ったような顔が浮かんだ。


ある日幼馴染が彼女の父親と腕を組んで嬉しそうに歩いているのを見かけた。

まさか、な……


その日僕は幼馴染に恋をしていたこと、そして失恋したことを自覚した。

もし、マッチング前に告白していたら何か変わったのだろうか?そう思わずにはいられなかった。


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