ロリっ娘とムキムキ男、勝敗はいかに?

───シュッ。

風を切って。弾が飛んでくる。


バゴォッッ!!


着弾。

コンクリートが衝撃でくだけた。石の破片がバラまかれる。

衝撃が肌に伝わってきて、僕はすくみあがった。


「ひぃぃぃっ!な、なにっ!?何が飛んできてるのっ!?助けてっ───」

「おい、騒ぐなエルメスッ!わたし達まで位置がバレてしまう!」


ウィステリアさんは叫んで、僕の口を手で塞ぐ。

そして僕を物陰へと引っ張りこんだ。


「エルメス、怖いのは分かる…だが黙れ。口を閉じろ。音を殺せ。」

「そ、そんなこと言ったって!落ち着けるわけないじゃないですか───」

「…ちょ、ちょっといっスか…イテテ…」


グリーンさんの声がきこえた。僕は振り返る。

彼は地面にうずくまっていた。ひどく苦しそうな表情をしながら。


「膝をやられちまいました…まともに歩くことすらできなさそうっス…」


彼のズボンの膝は、真っ赤に染まってしまっている。布地がまるで傷口そのもののように、じくじくと赤く濡れていた。


「グリーン、どこから撃たれたんだ?発砲音は聴こえなかったが…」

「わかんないっス…急に、脚に痛みが走って…気がついたらこうなってて…」

「そうか…だがしかし…この傷痕、何か妙だぞ。銃弾によるものとは違う。まるで、切り裂かれたかのような…」


彼女は傷口を覗きこむ。

そして、苦虫を噛み潰したように顔をしかめさせた。


「おそらく…"異能"かもしれん。」

「い、異能…?」

「あぁ、たしかに…こんな傷、普通じゃ無理っスね…」


彼女の口から出た"異能"という言葉に、僕は首をかしげた。

異能って何だ?そういえばフラッペちゃんにも異能があるって言ってたけど…いまいち何のことだか分からない。

僕は思いきって、ウィステリアさんに聞いてみることにした。


「あの、異能ってなんですか…?」

「あぁ、すまん。お前みたいな一般人は知らなくて当然だよな。いいぞ、わたしが教えてやるよ。異能ってのはだな…」


ウィステリアさんは、僕でも分かるよう丁寧に解説を始めてくれた。


「簡単に言えば、"超能力"ってやつだな。」

「ちょ…超能力!?それってあの…手から炎とか出たり、空飛べたりする感じの…?」

「んー…まぁそういう解釈で合ってるかな。そんなに強い能力を持ってるやつは少ないと思うが…」


急に出てきた新情報に、僕は度肝を抜かれた。

超能力?異能?そんな話聞いてないぞ!?今までそんなもの見たこともなかったし…

慌てる僕とは対照的に、彼女は淡々と説明を続ける。


「特殊能力を持ってる人間そのものは、数年前から発見されてた。政府が必死こいて隠ぺいしてたようだがな…」

「そんな話全然知らなかったんですけど…」

「そりゃあ、異能力がバレないようにしてたからな。今でもわたし達は隠れてコソコソ生きてるんだ。政府の連中にバレたら、どうなるか分かったもんじゃない…」


疲れたように、彼女は小さくため息を吐く。その顔には、数々の苦労が浮き出ているかのようだった。


僕は正直、話がのみこめていなかった。

異能力?政府?

なんだそれ。僕の手におえる話じゃない。

僕はどう理解すればいいか分からなかった。

あまりにも意味不明で。壮大すぎて。

まだ、現実味が感じられない自分がいた。

ていうか、ひょっとしてフラッペちゃんも何か能力を…?


僕が悶々と考えていると、ウィステリアさんが語りだした。


「敵は恐らく異能を持ってる。それも遠距離から攻撃できるタイプのな…」

「ど、どうするんですか…?こんなんじゃ勝てそうにないですけど…」

「おっと、もう忘れちまったのか?"異能"を持ってるのは…アイツらだけじゃない。わたしもだ。」

「あっ…!」

「見せてやろうじゃないか…わたしの異能は…コレだッ!」


彼女は勇ましく叫んだかと思うと…その小さな背を伸ばして、思いっきり手を掲げて見せた。

すると───

彼女の人指し指が、光を放ち始めたではないか!


「わたしの能力は、"殺人"以外にはサッパリ使えない能力なんだ。困ったもんでな。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

え?病みカワ系女の子に愛されちゃった?しかもその子が最強の異能力者だったって!?~サイコキラー系彼女に振り回されるラブラブ?生活~ ジャコめし @Jaco-meshi5555

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ