銃撃と、突撃の始まり。
彼女は、指をぴんと伸ばす。
すると、そこに光の球が集まっていって。
それはまるでホタルが集まっていってるみたいで…美しかった。
「わたしの能力は…"銃弾をつくる能力"だ。砂利でも砂でも、弾の形にして発射できる。」
そういう彼女の指先には…発光する塊が浮かんでいた。それは小ぶりだが、薬莢の形に似ていた。
弾を、作る、能力…
僕はごくりと唾をのむ。
かなり強そうな能力だ。銃がなくても、飛び道具を無から作りだせる。
「グリーンの傷の向きからして…射手はかなり高いところから撃ってきてるようだ。」
「高いところっていうと…あぁ、もしかしてそれがあのビルなの…!?」
そこまで聞いて、ようやく合点がいった。
敵は恐らく、あのビルの中にいる。
四階だか五階だか知らないが、とにかく高い階に。敵は潜んでいる。
「わたしからも撃ち返す。掠りでもすりゃあ、相手は手出しできなくなるだろう。その隙に乗り込むぞ!」
「で、でも…危険じゃないですか?また、さっきのを飛ばしてくるかも…」
「…でも、しょうがないだろ?アウトローってのはな…こういう時に腹をくくらなきゃあならないんだ!」
ウィステリアさんは、覚悟の決まった目で。
堂々と宣言してみせた。
ついでに、僕の方にもくるりと振り返る。
「…それにだな。フラッペのやつも、こんな程度で逃げ出すような男は嫌いだと思うぞ?フラれたくなきゃ、せいぜい頑張れ。」
「っ!」
彼女はそう言って、ニヤリと笑った。
その言葉が、僕の闘志に火をつけるきっかけとなった。
「…嫌われるのだけは嫌だッ!ウィステリアさん、一緒にアイツを倒しましょう!いや、倒すどころかボコボコにして跡形もなく消し飛ばしてやりましょうよ!」
「お、おう。別にそこまでしなくてもいいんだが…まあいい。」
ウィステリアさんは指を伸ばして物陰に隠れる。
そして首だけ出してビルの様子を伺った。
「奴がもう一度首を出したら…その時こそ、撃ち抜いてやる!エルメス、お前はビルの様子を見ててくれ!敵の姿が見つかったら、すぐにわたしに伝えろ!」
「わ、わかりました!」
僕も近くの電柱の陰に隠れて様子を伺う。
そして、さっきウィステリアさんが指したビルを凝視した。
目を凝らして睨みつける。どこだ。どこにいる?五階辺りにいそうだって言っていたよな。だとしたらあの辺だ。
僕は睨み続けた。
いつ敵が、撃ってくるか分からない状況で。少しでも反応が遅れれば、またあの「風」が飛んでくる。
もしもそれをまともに喰らったりしたら…僕の生首が転がることになるだろう。
それでも僕は、逃げなかった。ただじっと、窓を睨み続けた。
やがて。
その時は訪れる。
窓に…人影が映ったのだ!
「ウィステリアさん、今ですッ!敵が出てきましたッ!今の内に撃ってくださいッッ!」
僕は喉を引き絞ってそう叫ぶ。
一瞬たりとも、窓から目を離そうとは思わなかった。
やがて、窓の人影がこちらに腕を伸ばす。その腕に、わずかに光が宿ったような気がした。
もしかしたら弾を撃つ予備動作なのかもしれない。バカ正直に飛び出してきた敵を、狙撃しようとしているのかもしれない。
それでも僕は、逃げなかった。
「…よくやったぞ、エルメス!」
叫ぶと共に、ウィステリアさんが飛び出して。
…バヒュンッ!
指先から小さな弾弾を放った。
光弾は矢のように速かった。呼吸の合間に窓まで突き進む。
そして男の肩に、正確に命中した。
男は驚いて肩を押さえた。そしてそのまま、奥へと引っこんでいく。
「あ…逃げました!ウィステリアさんの銃弾、当たったみたいですよ!」
「よしっ!この隙を見逃すな!今の内に突撃するぞ!」
ウィステリアさんが叫んで、ビルに向かって駆けていった。僕たちも慌てて後を追いかける。
ふと振りかえると…グリーンさんがゆっくりと身体を起こしているところだった。
その両脚からは、いまだに血が滴り落ちている。
「グ、グリーンさん!何してるんですか、まだ動いちゃダメです!死んじゃいますよ!」
「だ…大丈夫…っス…俺、けっこう頑丈なお兄さんなんで…たはは…さ、行きましょう。」
ひきつった笑みを浮かべながら、彼はウィステリアを追ってビルへと駆けこんでいく。
…気のせいだろうか?脚の傷が、少し小さくなっているような…さっきまで立つことすらできなかったのに。
今はある程度立てるようにはなっていた。
治ってるように見えたのは、気のせいだろうか?
僕は違和感を感じつつも、彼らの後を追った。
え?病みカワ系女の子に愛されちゃった?しかもその子が最強の異能力者だったって!?~サイコキラー系彼女に振り回されるラブラブ?生活~ ジャコめし @Jaco-meshi5555
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