第5話 万能な武器!(笑)

「キュイ!」


 ウリが得意げな顔をしている。

 いや、なんで急にできたの?

 てかウリは使い方知ってたの?


「マジかよ......」


 俺は作った。たくさん作った。

 楽しくなって無我夢中だった。

 ちょうど10個作った時にそれは襲ってきた。


「いってぇぇえ!」


 信じられないほどの筋肉痛だ。

 こっちに来てからはそこそこに体力がついたと思っていたのに何故だろうか。

 いや、ほぼ確定でこの能力の使いすぎだろう。

 散々この類の物語を読み漁ったはずなのになぜ慎重に慣れなかったのだろうか。


「ファンタジーの魅力、恐ろしや......」


 その後2時間ほどはろくに動けないままウリと戯れて過ごした。

 ちなみにあのチカラをスキルと呼ぶことした。魔法って感じじゃないしね。



 ******



 回復した俺はウリと狩りに来ていた。

 獲物は川との往復の中で見つけた異様に耳の長いウサギだ。


「キュウゥゥ!」


 ウリが威嚇しながら素早くウサギを追い詰めていく。

 俺はそれをただ待って武器を振るうだけ。

 刃を棒の先につけたこの槍モドキで!


「せいっ!」


 ドスッという音と共にウサギの首を骨ごと貫いでしとめる。

 前々から思ってはいたがこの刃、石の癖して鋭すぎるな。

 ちなみにこの柄は複数の穴や溝があり、刃の付け方によって槍と斧を切り替えられる現状最強のウェポンだ。


「よし、ウリ帰るぞー」

「キュイ!」



 ******



 洞窟に戻った俺たちはウサギの解体を始める。

 いまだにスキルはあの石を持っていないと使えない。

 それに細かな変更はできるが手のひらサイズより大きなものを作れないのだ。


「またこれか......」


 俺はウサギからを取り出す。

 オオカミの半分ほどの大きさしかない石だが、なんだか重要アイテムっぽいのでとっておく。


「うわっ!」


 ウサギから完全に取り出した瞬間、石がオオカミのものに惹きつけられて飛んでいく。


 キンッ!


 どこか金属的な音がして石の方を見ると、ふたつの石がひとつになっていた。

 しかもそれだけではない。


「石の黒が濃くなった......?」

「キュイ!」


 どういうことなのだろうか。

 そんなことを考えてもどうしようもないとウリに言われた気がしたので解体を進める。

 ウサギの肉は煙で燻製して保存食にしておいた。



 ******



 おかしい。

 あきらかにおかしい。

 なにがって?弄れるサイズが上がったのだ!

 俺はウリが寝静まった頃にふと気になりスキルを使って研究していた。

 すると以前は手のひらサイズしか作れなかった刃が今ではフルーツナイフくらいなら作れるようになっている!

 あのウサギの石の影響であるのは明らかだろう。


「俺は心に決めたぞ!積極的にこのヘンな石を集める!」


 なぜって?

 今までわざわざ川まで水を飲みに行っていたのだ。

 しかし今の俺は違う。水筒が作れるのだ!


「万歳スキル!万歳文明!」

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