第10話選抜①

「壇上に登ったメンバーには1人だけ推薦することが可能です、つまり、選抜でメンバー入りを狙う人でも推薦され、私達がだす、ミッションをクリアできたらメンバー入りすることが可能です」


おれはとりあえず渚を推薦するかな、渚はこの高専内でも屈指の氷属性魔法の使い手だろう、それに、あいつはまだ発展途上だ、更に強くなる、育成するのは楽しいだろうな


「では、以上で選抜メンバーについての説明を終わります、1年5組から順に体育館を速やかに出てください」


いいな―、おれも早く帰りたいなー


「蒼麻は渚ちゃんでしょ」

「夏音こそ、理久だろ」

「私は、まあ彼氏を推薦するのは妥当じゃないかしら」

「だったら、おれも幼馴染を推薦するのは妥当だろ」

「ふふ、そうね」


夏音は口を手で抑えながら上品に笑った。


夏音サイド


渚ちゃんの好意に一切気づいてないと、ただの幼馴染として推薦すると


「ダンジョン攻略も渚ちゃんとするの?」

「まあな、渚はダンジョンのダの字もわからないぐらい無知だろうからな」

「そうね、…渚ちゃんのこと頼んだわよ」

「おー、中学時代とは違い、友達想いになったな、おれは嬉しいよ」

「あなたは私の親なの、…まあ、なんていうか、渚ちゃんには昔の私みたいな感じだったから」


私のお姉ちゃん橘琴音たちばなことねは橘家の最高傑作と言われ、その妹である私にも期待という名のプレッシャーがかかていた。

私ははその期待に答えるべくお姉ちゃんと一緒にダンジョンに行き、指導を受け、なんとかその期待に答えれた。

お姉ちゃんは姉妹揃っての推薦メンバー入でとっても喜んでくれたし、お父さんとお母さんにも言ったらとっても喜んでくれて、その日は久々の外食に行けたので記憶に強く残っている


「渚ちゃんは授業も実習も1人だけずっと真面目で、昔の私みたいに誰かの期待に答えれたいみたいな感じで動いてる用に見える、多分渚ちゃんは今回の選抜期間中に無理をすると思う、それを蒼麻君は阻止してほしいの、じゃないと、渚ちゃんの体がもたない…あなたが一番わかるでしょう、怪我の怖さを、っあごめんなさい、今のは、その」


なんて私は馬鹿なんだろう、人のトラウマを思い出させるなんて、橘家いぜんに、人間として失格だわ


「別にいいよ、あの時と違ってストレッチを風呂上がりと練習前後にしてるし」

「そう」



気まずい

私は早くこの場から離れたかった。そんなことを思っていたらポッケの中でスマホが鳴った。

誰だろうと思い画面を見たら美優からだった。


「ごめん電話」

「どうぞどうぞ」


私は美優に感謝しながら電話を出た。


蒼麻サイド


はあー

思い出したくなかったな、あれがなかれば今頃もっと走れただろうし、スリーの確率も高かったんだろうな……いや、過去を悔やんでも仕方ない、あれのおかげで今の自分ができていると言っても過言ではないからな


「ごめん、今から美優のお気に入りのスイーツ店に行くんだけど、渚ちゃん、借りてもいいかしら?」

「いいよ、楽しんできてね」


夏音は足早に体育館を出ていった。

おれもそろそろ帰ろうかな


「蒼麻ー早よ来い」


入口を見るとそこには尊がいた。


「今から、昼ご飯食いに行くけど、お前も来る?」

「もちろんさ」

「じゃあ行こう」


渚サイド


今私は、美優ちゃんのお気に入りのスイーツ店にいます


「渚ちゃんってさ、ダンジョンについてどのくらい知ってる」

「私は」


そこで私は言葉をつまらせた。

私はダンジョンについて全然知らなかった。


「すみません、ダンジョンについて全くわかりません」

「仕方ないよ、ニュースとかでは死者数しか言わないもんね」

「じゃあ、奈々が説明して」

「えー、今?」

「うん、今」

「せっかく殺人犯がわかる所だったのに…まあいいよ」

「お願いします奈々ちゃん」

「渚ちゃんの願いならしかたない…ダンジョンっていうのは、ゲートみたいにダンジョンゲートとして急に出てくるんだけど、Custodes Portae Malorumって書いてクストーデス・ポルタエ・マロム通称CPM、が出しているアプリで募集されるんだよ、そして、何回もCPMからだされる募集に参加し高ランクのダンジョンで活躍したりするとCPMの部隊に入れるよ」

「CPMの部隊について詳しく教えて下さい」

「いいよ、CPMの部隊に入るには、試験をクリアして研修生としてダンジョンやゲートでランクごとにもらえる点数で2万点に頑張ってなるか、さっき言ったとおり、試験を受けずダンジョンやゲートで活躍するの2つだけど、後者の方はあまりおすすめできないかな」

「なんでですか?」

「CPMの部隊が来るってことはレベルが高いということなんだ。だから、そこから無事にっていう問題も出てくるんだ」

「確かに……」

「しかーし」

「はい」

「私の役なんだけど」

「奈々君は休みたまえ」

「美優頭大丈夫?」

「もちろんさー」

「キモ」

「……で、まあ」


美優ちゃんが説明のいいとこ取りして上手くまとめてくれるのかな?


「私達、魔法高専生は、捌交戦の成績次第でそのまま部隊に入れるかもしれないんだ」

「ちなみに、今日私達に説明してくれた忍冬さんと夏音のお姉ちゃんの琴音さんともう一人の3年生は2年の時点でCPMの部隊に推薦され、活躍してるらしいよ」

「すごいですね」


私の実力と比べたら天と地の差があるんだろうな……もしCPMに私が推薦で入ったら、蒼麻君は私のことを認めてもらえるのだろうか


蒼麻サイド



「じゃ」

「蒼麻はここからまた電車でしょ」

「うん」

「寮に入れば?」

「いやぁーまあ」

「どうした?」


デスクトップPCで遊べなくなるし、渚のご飯も食べれないし……


「ゲームできなくなるから、無理かな」

「確かに、デスクトップPCは厳しいね、じゃ、また」

「はいはーい」


とりあえず今夜は渚とどこかのダンジョン攻略に参加するか


おれは電車で家に帰り渚の帰りを待った。


「ただいまー」

「おかえり、風呂から上がったらご飯できてると思うよ」

「わかりました」


今日はカレーを作った。

作ったって言っても、レトルトだし、風呂から上がったら確定で作り終わってるんだが、まあそのへんは置いとこう


「カレーを食べ終わったら適当にダンジョンに参加するか


渚サイド


風呂から上がって夜ご飯を食べたら蒼麻君に稽古をつけてもらいましょう

私はそう思いながらいつもより早く風呂を上がり、髪も乾かせ、蒼麻君のもとに向かった。


「風呂上がるの早くなかった?」

「…それにも理由がありまして」

「そう、とりあえずカレーを食おう、レトルトでごめん」

「いいですよ、別に」

「そっか…で風呂を早く上がった理由は」

「急ですいませんが、今から私に稽古を付けてほしいのですが、…ダメでしょうか?」

「なるほど~、特訓ね」

「はい」


ダメだろうか、少し強引過ぎたかもしれません、ちゃんと理由を言いましょう


「私は捌交戦のメンバーに入りたいんです」

「なるほど」

「ですので、どうか」


私はその後の言葉を言おうとしたら蒼麻君に遮られました。


「訓練は明日にしよう、今日はダンジョンに行こう」

「ダンジョンですか」

「ああ、初めてだろうからC級のクエストに参加するんだけど、どう?」


C級…魔法高専に入るにはこのランクを1人でクリアするレベルじゃないと。1年の時はいいが2年、3年の時に留年もしくは退学になるらしい


「そのダンジョンに行きましょう」

「オッケー、じゃあスマホ貸して」

「どうぞ」

「お、アプリ入れてんじゃん」

「はい、奈々ちゃんに入れたほうがいいよって言われたので」

「そう、…はいどうぞ」

「もう終わりましたか?」

「うん、今回はおれがリーダーで渚が参加した瞬間に受付終了したから、今回は2人っきりだ」

「わかりました」


よし、良いとこ見せよう、頑張れ渚

私は自分に言い聞かせ自分を鼓舞した。


蒼麻サイド


今、おれ等は、C級のダンジョンゲートについた。


「これが、ダンジョンゲート…」

「うん、普通のゲートと違ってモンスターがこっちの世界に来ることはほぼ無い」

「ほぼ?」

「うん、…クラッシュって言って、ダンジョンがもし1週間かけてクリア、つまり、ダンジョンボスを殺せなかったら、こっちの世界に現れ、ダンジョンボスを殺さない限りゲートから無尽蔵にモンスターが出てくる」

「なるほど…それだけは避けたいですね」

「うん、でも、このダンジョンは1階のしかないから大丈夫だけどね」

「そうなんですか」

「うん、…まあ、大船に乗った感じで進んでいってね」

「わかりました」


これで、少しは緊張を解すことはできただろうか









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