第56話 パーンってやつ

 グルムとか言うやつが武器を取り出す。


「細いな。レイピアとか言うやつかな?」

「ふっ。その余裕、いつまで持ちますかね」


 グルムはレイピアに風を纏わせて、殺傷能力を上げる。


「バロック、殺したらダメだよ?」

「難しいですが、やってみます」

「無理だったら俺がやるから」


「キィエィ!!」


 奇声をあげながらレイピアで攻撃してくるグルム。フェイントを混ぜつつ、隙を見せれば、確実に急所を狙ってくるあたり、戦い慣れてるのだろうな。


「おっと危ない」


 風を纏ってるので、流れ弾が飛んでくる。


「なるほど〜。そう言う動きか」


 バッツがレイピアでの動き方を真剣に眺めている。


「バロック、できるだけ戦いを長引かせて欲しい。バッツがもぉ良いと言ったら終わらせて大丈夫だから」

「やってみますが、難しいかったら申し訳ありません」

「出来るだけでいいから」


「グレイさん、俺と一緒にお姉さん助けに行きますよ。バッツ、ここよろしく〜」

「まかせとけ」


「ふざけたことを!!私を舐め腐るのもいい加減にしてもらいましょう!!」

「キィエーーーィ!!」


 グルムの魔力が膨れあがり、筋肉も膨張し、着ていたシャツが弾ける。


 おおーー!!初めて見た。シャツがパーンって弾けるところ。


「バロック、厳しかったらバッツと交代な」

「分かりました」


「ギィエィ!!」


 グルムの攻撃が俺に飛んできた。


「ちょっと、お前の相手はあっちだから」


 片手でレイピアを受け止める、バロックの方に投げ飛ばす。


「グレイさん行きますよ〜」

「お。おぅ。」


 牢屋の前に来ると…


「アネキ!!」

「グレイ!!なんでこんな所に⁉︎」


 良かった。お姉さん無事だった。


「グレイさん、とりあえずこの鉄格子壊しますね。お姉さんもすこし離れて下さい」

「は、はい…って、ロドニー様?」

「え?」


 俺はちゃんとお姉さんの顔を見る。


「し、シルビアさんじゃないですか⁉︎」

「ロドニー、お前俺のアネキのこと知ってるのか?ってことは…」

「義弟よ、今はそれよりシルビアさんのことが第一だろ」

「ちょ、義弟ってなんだよ!!しかも俺の方が年上だっつーの」


 鉄格子を壊し、シルビアさんを救出。グルムの所に戻ると、戦いは終わっていた。

 バロックがなんとか頑張ったみたい。


「主人、これからどうするので?」

「ん〜、とりあえず、リンダールさんに公爵家を潰していいか聞いてくるね」

「潰すのですか?」

「そうだね。バロックもそうだし、俺のシルビアさんにも手を出しておいてタダで済む訳ないじゃん?」

「「「俺の?」」」


「ロドニー様ったらもぉ」

「ちょ、嘘だろアネキ⁉︎」


「ひとまず、今日は施設に戻ってゆっくり休もう。明日、皆んなで相談して色々決めていこうか」


「なぁロドニー、こいつどうするよ?」

「え?あぁ、バッツはレイピアの動き分かったのか?」

「まぁなんとなくだけどな」

「とりあえず、レイピアは没収で、俺の家の地下にでも牢屋作ってそこに放置」


 倒れているグルムを抱えて移動。

 念のため、グラッシー公爵との会話とか全部録音してるし、後は明日考えよう。


 家に帰ると皆んな出迎えてくれた。


「カリー、ただいま〜」

「皆んなおかえり〜。その抱えてる人は?」

「こいつ?カリーの新しいおもちゃ?」


「おぃ。怖いこと言うなよ!!」


 バッツがすかさずツッコミを入れてくる。


「まぁ敵の情報を色々知ってるヤツだから、どうしても口を割らなかったらカリーのおもちゃになってもらうから」

「分かったわ〜」


 自分の家の地下に牢屋を作って、結界を設置。自殺できないようにカリーに魔法陣を組んでもらった。


 気がついたら朝日が昇ってきてる…

 お昼まで寝ることにして、起きたら冒険者ギルドに行こう。


「ちょっと誰よこの女!!」


 アリアナの声が聞こえてきた。

 とりあえず現場へ向かうと、少し不機嫌なアリアナと、どうしたら良いか分からないシルビアさん、アリアナを抑えるアマンダ。


「ちょっとアリアナ落ち着いて」

「ロドニー、どう言うことよ?私の寝てる間に知らない女連れこんで!!私じゃぁ満足出来なかったの?私捨てられるの?っぐすっ」


 泣きそうになってるじゃん…


「アリアナ落ち着いて。全部説明するから」


 グレイさんも呼び、昨日のことを説明。


「と言うことで、シルビアさんを助けたんだよ。ついでにその公爵家を潰そうかなって」

「私が寝てる間に…」

「あんだけ騒いでたのに気付かないのもすごいよね…」

「ろ、ロドニーが悪いんでしょ!!あんなに激しくするから!!」


 ポコポコと叩かれる俺。


「ごめんって、アリアナの反応が楽しくてつい…ごめんね」

「もぉ…」

「おぃ。俺たちは何を見せられてるんだ?」

「お、義弟よすまんすまん」

「それだよそれ!!アネキを助けてくれたことには感謝するが、俺のことを義弟と呼ぶな!!」


「まぁロドニー様、このシルビアさんも私達のお仲間になるのですか?」

「アマンダ、いや、分からないよ。本人には聞いてないからね」


「ロドニー様?」


 自分のことで何を言われてるのか不安な目をするシルビアさん。


「シルビアさん、とりあえず、貴族との問題を終わらせましょうか。それまではこの家か、横の施設で過ごしてもらって構いませんので」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界?よし、ハーレムを作るには振動魔法が必要だ ペッパー @kartel

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ