第55話 グレイの頼み
「おい、ロドニーいるか?おい!!」
なんだ?外が騒がしいな…
「おい!!」
眠たい目を擦りながら玄関を開ける。
「良かった、いた!!」
「あれ?グレイさん、どうしたんですか?」
「たのむ!!アネキを助けてくれ!!」
「アネキ?ちょっと待って下さい」
とりあえずグレイさんを家の中に。話を聞くことに。
「ん〜、ロドニー様、どうされたのですか?」
「アマンダ、悪いね起こして」
「いえ、こんな時間にお客様?」
「まぁそんなとこかな?」
「なら私はお茶でも淹れますね」
アリアナは爆睡してるみたいだな…
「ありがとう。で、グレイさん、どうしたんですか?こんな時間に」
まだ朝日が昇るにはかなり早い夜中の時間。
「わ、悪い、でも…お願いだ。アネキを助けて欲しい」
「それは聞きました。とりあえず何があったか聞かせてもらっても?」
「あぁ。実は…」
グレイさんとお姉さんは、昔、貴族に騙されて借金を負わされて、奴隷になるのではなく、その貴族の下で働けと言われた。
お姉さんは娼館へ。グレイさんは奴隷として売りに出されるはずだったのをお姉さんが止めてくれて、結果、繁華街の入り口で立つ仕事になった。
「俺は今日も仕事してたらよ、アネキが、あの貴族の野郎に連れられて何処かへ行ってしまったんだ。殴られた跡もあった…頼む!!アネキを助けて欲しい。金は無いけど、俺に出来ることならなんでもやるから!!!!」
なるほど…
「ロドニー様、私からもお願いします。どうかその人を助けてあげて下さい」
「あぁアマンダ、グレイさん、顔を上げて下さい。お姉さんを助けに行きますよ」
俺はグランデから、バロック、ローラ、リリーを呼び出す。
「二人とも、ちょっと貴族に喧嘩売ってくるから、何かあったらよろしく。基本的には殺しは無しで」
「主人、ここは任せて下さい」
「あたいとバロックがいれば大丈夫だ」
ナターシャも起こし、施設の方は任せる。
バッツとカリーも来てもらい、貴族に喧嘩売ると説明。
「ははっ。面白そうだぜ」
「貴族って言っても誰なの?」
「そうだった。聞くの忘れてたよ。グレイさん、その貴族って誰なんですか?」
「…グラッシー公爵だ」
「グラッシー!!」
バロックが反応する。あぁ。同じ貴族か…
「バロック、お前も行くか?」
「主人、しかし…」
「いいから一緒に行こう。ここらローラだけで十分だろ?」
「なら私が残るわね」
「カリー、良いのか?」
「えぇ。貴族に興味ないもの」
と言うことで、俺、バロック、バッツ、グレイさんの4人でグラッシー公爵とやらを潰しに行くことに。
公爵ってどのくらい偉いのかな?貴族分かんない…
「あの、グレイさん、参考までに聞くのですが、公爵ってどのくらい偉いんですか?」
「王族の次だ」
「それは闇が深そうな話ですね。最悪の場合、この王都無くなってもいいですよね?」
「え?お前そんなこと出来るの?」
「まぁやろうと思えばですが」
とりあえず、グレイさんが最後にお姉さんを見た場所まで行き、そこから追跡を開始。
向かったとされる方向へ。
サーチを展開しても人が多すぎる。
「俺はそのグラッシー公爵の家に行く。グレイさん、お姉さんの特徴は?」
「俺より少し髪色が暗くて長い。これと同じ物を付けてる」
そう言って緑色の石が付いてるネックレスを見せてくれた。
「分かりました!!他のみんなは引き続き捜索をよろしく。バロック、何かあったら連絡してくれ」
俺だけバレないように貴族街に入り、グラッシー公爵の家を探す。
…家分からない…どうしよ…
なんか分からないけど、一番デカい家に行けばいいだろ。かなり偉い人みたいだし。
一番デカい家の庭にそっとお邪魔して、家の壁に魔法陣を貼り、声を聞く。
「しかし、良いのでしょうか?あの女けっこう人気でしたよね?」
「あ?あんな失敬なやつはさっさと売ってしまえ、それに新しい女も見つけた。また上手いことやって俺の店でこき使ってやるさ」
どうやらこの家で当たりのようだな。
「では、いつものように?」
「いや、あの女は、そうだな、そこらへんのゴロツキどもで周して、どこかの変態貴族にでも高く売ってしまえばいいだろ」
「ではそのように…」
話してた部下らしき奴をマーキング。とりあえず一度みんなの所へ戻り、状況を説明。
「マーキングしてあるから、今からそいつをみんなで追うぞ」
「「「了解」」」
到着したのは俺の家から反対側にある、スラム街。ある一画にある家。見た目はボロボロだが、見張りが立っている。
「おい、開けろ」
「へぃ」
グラッシーに命令を受けた部下が中に入って行く。
「時間はかけてられないな」
門番を睡眠魔法でさっと処理する。
「主人、ここからは俺が前を歩きます」
「ありがとう」
バロック、俺、グレイさん、バッツの順番で中に入る。
中は普通の部屋しかなく、誰もいない。
サーチを使うと地下に反応があるので、地下への道を探す。
「どこにもない!!くそっ!!」
「グレイさん、落ち着いて下さい」
「ロドニー、なんかここ音が変だ」
バッツが何かを見つけたので見てみる。
一箇所だけ音が違うとこがあり、近くに手が入るくらいの隙間があり、地下への階段を発見。
「グレイさん、早まらないで下さいね」
「お、おぉ」
ゆっくり進んでいくと、そこにはゴロツキが2人、さっきまで追いかけてきたグラッシーの部下と、牢屋の中に女性が一人。
「アネキ!!大丈夫か!!」
「誰だ!!」
グレイさん、頼むよ…
「おや?あなたはグレイじゃないか。はっはっはっ。姉のピンチを助けにきたのかね?」
「そうだ!!」
「私たちに逆らうとどうなるか、一緒にいる方々もご存知なのでしょうね?」
俺は一歩前に出て答える。
「あなた達って?」
「ふははははは。まさかグレイから何も聞かされてないのですか?それにあなたみたいな子供がこんなところに来るものじゃぁありませんよ?」
「ん〜、グラッシーのとこの部下だよね?」
「グラッシー公爵様とお呼びなさい!!無礼者が!!」
「はぁ。それで、そいつの部下であるお前がなんでこんな所で、怪しそうなことしてんの?」
「生意気なガキが!!お前らが首を突っ込んでいい事じゃねぇんだよ!!」
「そうだぜ、グルム様、こいつらぁ俺達でやっちまいます」
あのグラッシーの部下はグルムと言うのか。
「バロック、よろしく」
「はっ」
「ぐふっ」「ぐわっぼへっ」
「へぇ〜、バロック強くなってるね」
「ありがとうございます」
「ふっ。まったく、使えない部下達ですね…まぁ、少し強い獣人がいたところで、同じですよ。あなた達にはここで死んでもらいます」
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