第54話 悩んだ時はスッキリするに限る
俺は今施設の訓練所で弓を使っている。
弓って思ったより難しいんだな…
前へは飛ぶけど、真っ直ぐ行かないし、なんなら飛距離も全然伸びてくれない…
風魔法で補助することは出来たけど、出来れば貫通力が欲しいんだろうな…
そもそも、弓で出来ることって、魔法で出来るんだよな…
思いついたことは一通り試すが、火力UPのアドバイスには繋がらない…
こう言う時は一発スッキリしてから考えなおそう!!
と言うことでやってきました繁華街。
「おぉ、今日は早い時間にどうした?」
「グレイさん、こんにちは。ちょっと考え事でずっとモヤモヤしてるので、一度リセットしようかと」
「はぁ〜?なんだよそれ。そんな理由で気軽に遊べるの羨ましいぜ」
「お金に困ってるなら良い仕事紹介しましょうか?子供を見守るだけの簡単な仕事ですよ?」
そう。施設を管理してくれる大人が欲しい。
「はっ。そんな簡単な仕事怪しすぎるぜ。それに俺はこの仕事を抜けられねぇんだよ」
「そうですか。まぁ深くは聞かないでおきます。気が変わったら声かけて下さい」
今日は行ったことのないお店にしてみよう。
少し歩くと、メインの通りからちょっと入ったとこにお店があるのに気付く。
興味本位で覗いてみると、可愛い子の写真があるではないか!!
よし。今日はここにしてみよう!!
さっそく中に入ると、少しだけ怖そうな顔に傷があるおんちゃんが出迎えてくれた。
「いらっしゃい。お客さん、うちの店は初めてかい?」
「はい。外から見たら可愛い子の写真があるな〜と思いまして」
「はっは。うちは上玉揃いだけど、その分高いですぜ?」
金ならあるからな。とりあえず料金を聞いて、その場で払い、写真で見た子を指名。
たしかに他の店の1.5倍くらいの値段だったな…
出迎えてくれたのは写真通りの綺麗なお姉さん。アリアナとかアマンダは西洋の綺麗さなんだけど、今日指名したシルビアさんはアジア系の綺麗な感じ。
「ずいぶんと若いお客様ね。よろしくね」
「はい。お願いします」
「うちの店は初めて?」
「そうです。シルビアさんの写真見て、綺麗だったから思わず中に入ってしまいました」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない?ところでお名前は?」
「ロドニーです」
「ロドニー?どこかで…」
少しだけ記憶を辿るように考え込むシルビアさん。
「じゃぁさっそくお風呂入りましょうか」
「は〜い」
お風呂でも素晴らしいサービスをしてくれ、そのままベッドへ。俺も張り切って頑張っちゃいました。
「はぁ、はぁ、はぁ。もぉダメ…でも、思い出した。あなたがあの有名なロドニーだったのね」
「有名?」
「はぁ、はぁ、あなたに指名してもらった女の子がみんな噂してるのよ。クジラ君より凄いって…はぁ、はぁ」
「そんな噂があるんですね…」
まぁクジラ君作ったのも俺だしな…
「私もあなたに指名してもらえて嬉しいわ。でも、悪いことは言わないから、このお店はもぉ来ない方がいいわね」
「え?」
来ない方がいい?どう言うことだ…
「俺何か嫌われることしました?」
「あなたのことは大好きよ。だからよ。このお店は辞めた方が良い」
時間が来たのでお店を出る。
まぁ闇営業みたいな店だから来ない方が良いってことなんだろうな。
シルビアさん、かなりタイプだったんだけど、諦めよう。何でも首を突っ込むとロクなことないしな。
繁華街を後にする時もグレイさんに挨拶してから帰る。一応、気が変わったらここに連絡してと施設の場所を教えておく。
施設に戻って思い出す。
「俺って弓のこと考えてたんだった…」
まぁ最後はモヤモヤしたけど、リフレッシュ出来たし、もう一度考えよう。
弓で威力のあるやつだと、地面に刺す、デカい弓?そもそも魔力で矢を作ってやったらダメなのか?
ってか弓に威力って必要?急所をピンポイントで射抜くことが出来れば…と言うことは、威力と言うよりかは、貫通力。
貫通力を補う魔法を考えるか?
試しに貫通力がUPする魔法陣を作り、極力小さくして矢に魔法陣を貼る。
矢を射る時に魔力を流し、やってみると
【スパーン!!】
おぉ。思ったより上手く行ったな。
なら弓の方には…そうだな…射る時の力がUPするような…射力UPでやってみよう。
魔法陣に注ぐ魔力量で射力が変わるように設定し、やってみる。
【ヒュン……スパーン!!】
おぉ!!かなり良くなった!!
普通の弓矢でこれだから、もっと素材とか良いやつ使ったらヤバいのとになりそう…
その日の夜、クリスとカルロスに実演して見せたら二人とも大喜び。
「すごいです!!ロドニーさん!!」
「ここまで変わるのか…すごい」
「あとは素材とかなんだけど、それは自分達で頑張って探すこと。あと、この弓矢は俺のだから、自分たちでカリーに魔法陣の仕組みを習って出来るように頑張ることな」
「「分かりました!!」」
その弓矢貰えないの?ケチとか言われるかと思ってたんだけど、意外と素直だな。
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