4■有志の主張に対する疑問点(1)
1)「数多くのMtFの人と出会う機会がありましたが、確かに、『この人は、自分が<女性>だと言っているけれど、<女性>とは感じられない』という印象を抱かされるかたも何人かいました。しかしその理由とは、SRS済みではないから、ではありません(そもそも知り合いの裸を見せ合うことなんて滅多にありません)。また、外見的に女性に見えるか――パスしているか――どうかも、必ずしも関係ありません。外見的には『女装した男性』に見える方であっても、同じ『女同士』だと感じることは多いです」というコメントについて。
「同じ女同士」というのは、このかた個人の感覚であり印象であり、MtF参加者を擁護するためにあえて述べたのだとしても、要望書に記載したからには、この「誰が女性なのか?」を判断する基準になりかねないのではないかという懸念が生じます。SRSの有無や外見は関係なく、「MtFが『女性』と感じられるかどうか?」が、ここでは問題とされています。本人の性自認以外に、第三者からの「同じ女性同士である」という承認を得ること、しかも感覚という恣意的な基準による承認が、どうやら必要らしいのです。では、その第三者とは誰のことでしょうか。MtFではない「本物の女性」が承認するのでしょうか。「本物の女性」とはいったい誰のことなのでしょうか。
わたし自身の話をすると、わたしには女性の自認がありません。法律上および生物学上は女性に区分されますが、それは自分が納得して帰属を決めた区分ではありませんし、その区分にしたがって分けられた女性集団のなかにいると、間違いなく居心地が悪くなります。その集団内の任意の一人(あるいは複数人)と自分を引き比べて「同じ女同士」と感じることもないし、「だから安心していられる」とも思いません。かといって男性だけの集団に入れられるのも御免です。女性か男性かで線引きされたグループどちらにも違和感があって帰属できない感覚があります。ですから、「同じ女性同士」という感覚を共有できないわたしは、そのなかに入っていけないなあと身が引けてしまいますし、「私たち、同じ女同士だよね!」などと同意を求められたら、きっとその場から逃げ出したくなると思います。
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