あとがき
『ロマンス・ファンタジック・カリヴィエーラ~転生令嬢、魔王を封印せよ~』 を読んでいただき、ありがとうございました!
カクヨムコン10というWeb小説界随一のコンテストに参加させていただき光栄です。KADOKAWA編集部の方々、また公募応募時にご評価くださったMF文庫J編集部の方々、そしてこの作品を手に取って下さった読者の皆様、心から感謝申し上げます。
この作品を書くきっかけになったのは、今やライトノベル業界を席巻し、多くのファンを作っている〝ざまあ系〟〝転生令嬢〟というジャンルを知ったことでした。
ファンタジー&SF書きとしては、キーッ! 人気ジャンルってだけでいっぱい読まれて! 憎たらしい! みたいな感情もなくはなかったのですが、どうしてそれほど愛されているのかが気になってしまって、ジャンルの構造を分析してみたり、どうやって書けばいいのか調べてみたりしたのです。そうしている内に「未知の分野で私には書けないかもなあ」→「やべ、ちょっと書いてみたい」という心境の変化がありまして、挑戦してみようという体で書いてみたのが始まりでした。
好みと合わないものを遠ざけていたとしても何も問題はありません。ただ今の日本での流行を作っているジャンルを無視してしまうのは勿体ないですし、何事もやってみた方が力になるかな、と思いました。
〝ざまあ系〟は大体の構造として、最初にざまあ対象となるヘイトキャラクターが「お前は追放です!」等と言われて、ちょっと遡って転生→令嬢に成長→前世の経験を活かして無双する、みたいな流れがあるんですね。
最初はそうやって書いてみてたんですけど……気付くとイルマが処刑されてました。なんでえ??
また作家の皆さんはご存じだと思うのですが、この作品の序章で扱われていたような「今後の展開でこうなりますよ」を先出しする手法はフラッシュフォワードと呼ばれていまして、文学、映画などで用いられる表現技法です。今回はこの技法を取り入れたかった、というのも理由の一つであります。結果として、転生令嬢のはずの主人公イルマが、今後処刑されるんかい! という点で冒頭の掴みと言う役目は果たせたのかな、と感じています。
作品の世界観としてオマージュしているカレリアとフィンランドの民族叙事詩『カレワラ』では、イルマという名のつく人は二人登場します。不滅の匠・イルマリネンおじいさんと、ワイナミョイネンの母であり大気の乙女であるイルマタルです。
イルマリネンはワイナミョイネンに無茶振りされてサンポとか籠手とか作らされるのですが、わりに大して報われない苦労人です。
イルマタルは天界から海に降りたってワイナミョイネンを産んだ女神様ですね。
何でほとんど同じ名前の人が二人もいるのかは謎ですが、神話にはよくあることなので……。『ロマファン』においてはイルマはいずれ神様になる、という方向性が決まっていて、そこから物語を作っていきました。
また、物語の結末としてイルマは手酷く裏切られ、それでいて裏切り者のルオン達と融合して神様になる、という展開を迎えたのですが、自分の過去作品『ヨルコウ』を読んでくださっている方は、出た〜! となっているかもしれません。神様になるためにイルマは死ななければならなかった、というわけなのですね。
一番難産だったのは「作品全体のテーマ」です。
『カレワラ』をベースにするつもりではいたのですが、ただ単にテンプレートに沿って〝ざまあ〟したとしても、その後イルマが活躍しないといけませんし、その為には筋が通っている必要があります。ルオンに裏切られるというアイデアはあったので、どうしたら裏切られても相手を許せるかな? と考えました。
皆さんにもこれまでの人生で、友人や親しい間柄の人に裏切られたことはないでしょうか? そういう時には胸の内がきりきり痛んだり、起きてしまった現実を考えて頭痛がしてクラっときたり……。自分は結構そういう経験があります(人徳が無い)。
でも心の奥底どこかで、裏切られてしまっても相手を許したい……というか、これまで通りに仲良く戻れたらいいのに、とよく願っていました。それって結局、現実逃避でもありますが、やはり相手のことを信頼している、愛しているという裏返しなのではないでしょうか。イルマの台詞にもありました、「愛と憎しみは裏表の関係だ。大事だから憎いのだ」です。
愛と憎しみ、裏切りと信頼……そんな相反した関係から連想していき、『友情と信頼』を今作のテーマとして置きました。
そしてもう一つ、挑戦したのが「コメディ」です。
私、本当に暗い話しか書けない癖がありまして。明るい話を書きたい! と頑張ったんです。
結局途中からシリアスになっていくのですが、最終的にはみんな幸せにできたので良かったかな……!! と自分に言い聞かせています!
あと、明日もう一話、後日談更新します! レンカが頑張る話です! 良ければ!!
あれこればらばらと書き出してしまいましたが、重ねて御礼をお伝えさせていただきます!
またコメディやライトファンタジーの小説も書きたいと思いますので、何卒よろしくお願いします〜!!
伊藤沃雪 2024/11/19
ロマンス・ファンタジック・カリヴィエーラ~転生令嬢、魔王を封印せよ~ 伊藤沃雪 @yousetsu
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