第42話

急に俺たちの周りは慌ただしくなり、礼王レオのデビューに向けて様々なことが始められた。スタッフが集められ、曲、CD、イベント、衣装、その他細々としたことについて会議が行われ、作業も同時進行で行われていく。


曲は、すでに那愛魔の代わりに歌っていた曲に加えて新曲を1、2曲、もうすでに前々から礼王のデビューを計画していたソォーンが手配していたようだ。


礼王は基礎レッスンやら、新曲のレッスンやらでやることが山積みだ。俺もマネージャーとして、スケジュールを管理したり、付き添いと身の回りの世話などの合間に会議に参加したりしている。


チャドは、会場の手配や関係各所への連絡、契約書などのパソコン作業を担当するらしい。自ら志願して事務作業を一人で担当するようだが、何か腹に一物ありそうだ。いったい何をするつもりなんだろう。


チャドの指示通り、俺をマネージャーにする条件で礼王がデビューすることになったが、俺たちはそれ以上のことは知らされていない。


「一平 にいと礼王ちゃんは何も知らない方がいいんだよ。必要なことはオレが指示するから…」


チャドは礼王のマンションで作業する許可をソォーンからもらったらしく、リビングにパソコンを持ち込んで、すごい勢いで作業している。


「チャド一人に任せて大丈夫かなぁ…」と礼王は心配しているが、俺はちょっとチャドを見直している。チャラいと思っていたが、どうやら有能らしい。昔ソォーンに騙されたと言っていたが、チャド自身詐欺師だったんじゃないのかな?聞いてみたいが、答えてくれない気もする。


とにかく、チャドも礼王も疲れきっているようだし、一番楽してて元気な俺が2人のためにご飯を作ろうと思いたった。


簡単なものしか作れないが、俺は料理は嫌いじゃない。いや、むしろ好きかもしれない。いろいろ面倒な作業もあるが、いろんな素材や調味料を組み合わせて、美味いものができた時の達成感はハンパない。


そしてやっぱり作ったものは誰かに振る舞って、美味しいと言ってもらいたい。自分で作ったものを自分で食べるだけでは味気ない。一緒に食べる人がいて、反応があるのが楽しいし、それがなければ作る気もしないだろう。


何を作るか考えながら、冷蔵庫を開けてみた。ハムやチーズ、卵とキャベツ、ミニトマトなどがある。これは、アレを作るしかない!俺の得意なアレを!

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美少女に翻弄されるおっさんは幸せなのか? るいすきぃ @lewisky

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