第41話

まさか、またこの部屋に来ることになるとは思わなかった。

ソォーンにも、次回はこの部屋には呼ばないと言われてたし…。

何故、俺がこの部屋に呼ばれたか…。それは、隣に座っている礼王レオのおかげだ。


「この男をお前のマネージャーに?冗談じゃない!なんでそんなことしなきゃならんのだ?」

「理由なんてどうでもいいでしょ?私は、一平がマネージャーになるっていう条件でなら、デビューしてもいいって言ってるの」

「こんなクソヘタレ男にお前のマネージャーなんか務まるものか!」

「じゃあ、いいよ!もうデビューの話は無し!帰るね」

「ちょっと待ってくれ…」


ソォーンは、渋い顔で唸っている。まぁせいぜい悩むがいいさ。この話は、礼王と俺がソォーンに近づくための方便なんだから、礼王と俺はセットじゃなきゃこの話は流れるだけだ。


「自分、運転もできますし、ビジネスマナーもマスターしてますよ」

と言ってみる。


「ビジネスマナーか…。笑わせるな。先日はずいぶん失礼な態度だったよな…?」

「今回はちゃんとしたビジネスのお付き合いですから、失礼なんてしませんよ。ソォーンさん」

「ソォーンさん?ソォーンさま、だろう?」

「えっ!?さまって呼んでほしいんですか…?…ふふ…」


ソォーンの顔に血がのぼった。

「い、いや、ソォーンさんでいい」


それにしても、ソォーンで遊べるなんて思わなかったな…。前回はやられっぱなしだったが、今回は礼王が隣にいるだけでどこまでも強気で行ける。美少女パワーはやっぱりすごい。


どうせ金儲けも絡んでいるのだろうが、ソォーンはどうやら那愛魔と礼王のどちらも狙っているふしがある。

全くいやらしい奴だ。


いや、俺も人のことは言えない…?いやいや、俺はお子様に手を出したりはしない。なにせ、俺は「腐ってもおじさん」という自覚と矜持だけは持っているからな。ソォーンとは違うのだ。


「ねぇ、早く決めてくれる?いつまでも待たされて、退屈でしょうがないよ…」

「う~む、仕方ないか…。じゃあ、そいつがマネージャーでいい。早速デビューに向けて話を進めよう」

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