恐怖。その感情はとても深遠にして掴みどころのない。人間にとっての根源的な感情である。
この物語は、とある船の中で起こった出来事です。
船自体は、とても健全なもの。傍から見ると、とても平和な外見をした船。休日などに海岸線をドライブしていると、その船が沿岸を運航しているのを見ることもできる。「わーい、お船だあ!」と、目にした近隣住民に喜ばれるような代物でもあります。
そんな平和な船の中で、ある『とんでもない事件』が起きていた。
……これ以上、詳細を語るのはやめにしておきましょう。これについては、ただ『怖い』としか言いようがないので。
小松左京の『牛の首』という小説をご存知でしょうか? あの作品の中でも、とある恐怖の話が語られている。その話はあまりにも怖すぎて、聞いた人間たちはただ口を揃えて「あれは怖かった」としか言わない。
この作品で語られている内容も、それと同じものだと言えるかもしれません。これを読んだ人々に感想を聞けば、ただ一言「あれは怖かった」と口にするのみとなっているでしょう。
ここから先は自己責任です。ですが、一度目にしてみることをオススメします。
その先で、あなたはきっと口にすることでしょう。「どうしようもなく怖かった」と。