目眩く荒濤に翻弄される、恐怖の煉獄渡海より。

荒れ狂う濤の下。舟底一枚下には昏い海。
揺れる視界の先には、幾つもの扉。
決して間違ってはならない扉の先には…。
 本当に怖いモノは、すぐそこに。
生命の危機が、斜めになった視界の先に。
助けを求めても、そこは大海。
逃げ惑うにも波濤に翻弄される。二進も
三進も行かない…そして、更なる畝りが
襲い掛かる。

目の前の、全ての扉が音を立てて。

          嗤う。


…本当に怖いのは その後 だという事を
この時まだ、彼女は識らない。

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