水は万物の素子。彷徨える因縁もまた。

水とは、この世に生きとし生けるもの
全てに於いてなくてはならない。そして
その性質を以て、古くから何かと比喩にも
用いられがちな物質である。
 水面を、此岸と彼岸の境目としての
解釈をする向きも多い。

水面を潜れば、そこは 異界 だ。

断つ事 で棲み分けて来た人の世の慣い。
連綿と続いてきた時間、そして想い。
水縁に於いては、それは自ずと曖昧になり人の理の外へと浸食する。
 妄執、絶望、愛憎、怨念、慚愧、贖罪。
記憶の底に渦巻くものは、時に奔流となり
因果という名の『水車』を廻す。

逃げ場など、端から存在しない。