天より賜った美しき言の葉地に降りて切り裂く

本作品を読むのには、呉々も心して真摯な
気持ちで臨まれる事を願って止まない。
短いからといって、決して侮って読んで
欲しくないと思うのだ。尤も、それも
すぐに分かるだろうけれど。

短編、然し『詩篇』でもあり『和歌』でも
ある様に見えるこの作品は、作者の既出
【心霊カンパニア】に於ける登場人物の
置かれた状態、又、彼等が今後に遭遇する
出来事を象徴的に彩っている。

 嫋やかな中にも壮絶な凄まじさがあり、また、畏ろしさの中にも目を見張る様な
美しさがある。

既出本編は一旦、完結の態をとっているが
『物語』としては完結していない。いや
それどころか謎が其処彼処に点在する。
この作品を単独で愛でるのも勿論、佳い。
本編と共に読むのも又、違った趣きや
解釈を得られるだろう。

美しい言の葉を、極限以上に研ぎ澄ました
壮絶な作品である。