0歳3ヶ月 にぎにぎ

 首が座ったものの、まだ寝返りも出来ない生後3ヶ月の娘。最近は、薄くて柔らかいものが手にあたったら、にぎにぎするようになった。

 試しにいろんなもの握らせてみる。ガーゼを握らせるとにぎにぎする。綿がしっかり詰まっているぬいぐるみは、ちっちゃいものでもまた難しい。

 いろいろ握らせる中で、これは難しいかな……と思いながらも、ビーズクッションのぬいぐるみを握らせてみた。握った瞬間、娘の顔がパアアアアッと輝いて、そのままぬいぐるみに「あむっ」とむしゃぶりついた。とっっっても気に入ったみたい。

 普段、母の顔が見えないと泣き出すのに、このぬいぐるみを握らせたら、暫くは泣かずに遊んでくれる。なので、少し娘の側を離れるときにはこのぬいぐるみを必ず握らせるようになった。


 そうして二週間くらいたったある日、いつものようにビーズクッションのぬいぐるみを娘に握らせて、畳んだ洗濯物を隣の部屋に片付けに行った。

 泣き声が聞こえないから、と安心してささっと洗濯物をしまい、娘のいる部屋に戻ってきたら、ベッドの側にビーズクッションのぬいぐるみが投げ捨てられていた。

 あれ?と思って拾って握らせたら、またすぐポイっと投げる。


 娘のスキル「にぎにぎ」は「ポイっと投げる」に進化した。


 にぎにぎは、飽きたみたい。



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