　ある日、娘がとても元気に話しかけてきた。

「おかあさんに　おりょうり　つくってあげる！」

　たどたどしい口調で、でも自信あり気な娘が可愛くて仕方ない。

「ありがとう、何作るの？」

　聞くと、ニコニコしながら話し始めた。

「まず　こなを　ひきます」

（ホットケーキかな？）

　娘が好きな絵本、エリックカール『ホットケーキできあがり！』で、ホットケーキのために小麦粉を収穫、脱穀して水車小屋で粉にするくだりがある。それが最初に思い浮かんだ。

「たまごを　にこ　まぜます」

（ホットケーキかな）

　勿論、ホットケーキの絵本では卵を割って混ぜる描写が欠かせない。

「ぎゅうにゅうを　いれます」

（ホットケーキだ！）

　娘は、ニコニコと母に手を差し出した。

「はい　ぶどうじゅーす！」

（！？！？！？！？）

　どんな工程をたどれば、小麦粉と卵と牛乳でぶどうジュースができるのか……。

　ここに我が家の謎が生まれた。

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