第7話 齢四十のおっさん、笑われる!


「安田課長!それCPUすっよwww」


隣で息も絶え絶えに爆笑しているのは新卒の加藤君だ。


「相手ぼっ立ちで余裕だったんでしょ?www」


どうやらランクマッチは最初の数戦は必ずCPU戦になるという。これは格闘ゲーム初心者にも楽しんでプレイしていもらう配慮のようだ。

更にプレイをするタイミング次第では、運悪く全ての試合がCPU戦になるらしいのだ。



「じゃあ自信満々に勝ち誇っていた昨日の俺は、、、?」


「CPU相手に勝wちw誇wっwてwいwたwんwでwすwね」


笑いながら喋るんじゃねえ。読みにくいだろ。


連戦連勝、生涯無敗なんて伸び切った鼻を見せびらかすように加藤君に自慢話をしたらこれである。

自分に才能が溢れかえっているのかと思っていたが、溢れんばかりの自身はすべて勘違いだったとは。。。



「でもゴールドに上がったんだし、実力的には戦えるってことじゃないのか?」



『秘技:現実逃避』

全力で目を背けるのも大人の技だ。

ミジンコサイズの可能性に賭けて全力で目を逸らす。



「たまにそう言うランク事故聞きますよ。初心者が認定戦でCPUをボコボコにした結果分不相応のランクに昇格しちゃうの。」




撃沈である。

悲しい事故の前例がミジンコサイズの可能性を綺麗に否定してくれた。



「だとしても、ランクに見合う実力を身に着けろってことだな!」



『秘技2:切り替え』

諦めだって大人の技だ。

将来の自分に可能性に賭けて全力で見栄を張る。



「そりゃあ、そうなんですけど、、、」


「なんだ加藤君。歯切れが悪いじゃないか?」


さっきまで上司を全力で笑っていた新卒とは思えない。

このくらい遠慮がちに話せるなら最初からその態度で話してほしいものだ。



「いやぁ、自分より高いランクにいるって事は、基本的にボロ負けするって事ですよ?それで辞めちゃった初心者の話も聞いた事あるので。。。」



加藤君は中年の心にとどめを刺すのが得意なのだろう。

某カードゲームのヒロインなら、『ライフはもうゼロよっ!』と言って止めに入ってくれるシーンだ。



「なんでこんな仕様なんだよ!認定戦だなんて名前ならちゃんと実力通りに評価してくれっ!」



どうやらこのランク認定戦の仕様は、いささか仕方がない背景があるようだ。


どういったゲームでもプレイヤーによって熱量が違うのは当然だろう。

このNFCでは、サブのアカウントを新しく作り、初心者をボコボコにする事に快感を覚えているプレイヤーも極一部にいる様だ。

もちろんサブのアカウントを作るのは規約で禁止されている。

そういった規約に反している行為で、アイアン帯で初心者狩りをする悪質プレイヤーの対策をするために、認定戦の勝率を参考にしてゴールド配属になったようなのだ。


ちなみにCPUとメイキングしたのは運悪く、俺がゲームをしているタイミングで同じ実力のプレイヤーがいなかったかららしい。


本当に運が悪い。



「安田課長!落ち込まずに一歩ずつですよ!」



生意気な新卒、加藤君に励まされる安田大輔40歳。

なんとも惨めな姿である。



「そうだよな、切り替えよう!ここから一歩ずつ成長すればいいさ!」



───────────────────────────

『次回、安田課長 死す。』


と、言う訳で本日もありがとう御座いました!


なんとか今日も更新できました!

最近は眠る直前にカクヨムを開いています。


今日は更新無理かなって思いながら、ぎりぎり毎日更新続けられています。



だってPV100を超えて、フォローも4人からしていただいているのです!



日に日に増えていくPVとフォロー、応援、本当に嬉しいです!


いつもありがとうございます!


皆様の応援が更新の糧です!これからもよろしくお願いします。

砂糖甘彦

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齢四十の格ゲーマー、プロになる! 砂糖甘彦 @Luclle

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