元辺境伯の忘備録　―魔術剣士と世界の秘密―

エヴァン・アルスターノは生物観察を趣味とする帝国辺境伯である。
纏まった休暇を取ることができた彼はかねてより訪れてみたかった西大陸にある北の大山脈の生態系調査に乗り出すが、不運にも吹雪で遭難してしまう。

その中で不幸中の幸いというべきか、手つかずの遺跡にたどり着いて嵐をやり過ごすこととした。

それからどれほど時がたったか、奇跡的に救助された彼は経過していた年月に驚愕した。

実に、10年もの間彼は遭難していたのだ。

遭難していた間に彼は死亡したことにされ、帰る場所もなくなった。
今後の身の振り方を考えていた時に訪れたある図書室で1冊の本と出会った。

これは身分を捨て、過去を捨てた男が貴族時代に培った魔術と剣術を頼りに、世界の秘密を紐解く物語。