発症後2
問わず語りが続いたので、少しこちらの情報を載せておこうと思います。
現況、というやつですね。
次回以降、どこかで詳しく触れるつもりですが。
まず、診断名は「双極性障害Ⅰ型」。加えて、正式ではないものの、「不注意優位型ADHD」。
処方薬は、
・炭酸リチウム 800㎎
・バルプロ酸ナトリウム 1200㎎
・ラモトリギン 150㎎
・ラツーダ 40㎎
・インチュニブ 2㎎
・フルニトラゼパム 2㎎
です。上3つはすべて、「気分安定薬」と呼ばれる、抗うつ剤とは違う、ほぼ双極性障害用のお薬です(バルプロ酸は、抗てんかん薬でもありますが)。
かなり多いほうですし、薬はなるべく少なくしたいという主治医も「減らせればいいんですけどね」とはいいつつも、悪化を繰り返しながら紆余曲折を経て、これでようやく日常生活が送れています。ちなみに、これでもだいぶ減りました。
利用している制度は、
・訪問看護
・計画相談支援
・精神保健福祉手帳
・自立支援医療制度
・障害年金
直接的な制度ではありませんが、そこに在宅での福祉就労が加わります。
それぞれ、今を生きるためには欠かせないものです。
前置きにしておくべきでしたが、問わず語りが続いた前回の反省を踏まえ、ここに記載いたします。いずれ掘り下げるつもりですが、現時点ででも、どなたかの参考になればと思います。
♦保護
長々となってしまうのを、今回は避けますね。結論から言うと、2度目の主治医との経過は、残念な結果に終わりました。
某学会では有名な方で著作もあり、私もお名前を存じ上げていて、たまたま通える距離だったので、A病院からそこに転院したのです。診断は、「うつ病」「適応障害」、最終的には「人格障害」でした。
その診断に基づき、抗うつ薬を中心に、抗精神病薬を混ぜた治療が開始されました。
残念ながら、何を飲んでも一向に改善されませんでした。
強いて言えば、強い抗精神病薬を飲んだ場合、脳に抑制作用がかかって、多少大人しくなる程度で、気分の浮き沈みとその激しさ、激烈なパニック発作、解離的な記憶の欠落、希死念慮などは止むことはありませんでした。
毎日が絶望しかない。転居しても、何も変わらない。
唯一あったことと言えば、仕事が見つかったくらいですが、7日も経たずに休職してしまいました。その後、その仕事でも休職と復帰を繰り返していました。
休んでいたら休んでいたで、仕事のことしか考えられない。出勤したらしたで、目の前のことが手に着かない。金曜日が終われば、月曜日の朝が、頭の中ですぐ始まっていて、一切の切り替えができない・・・・・・。
ギリギリになっても家を出ることができず、支給される交通費では足りないのに、手出しで新幹線で出勤したりもしていました。それでも最終的には、勤務日数が足りずに契約更新不可という結果に終わります。
警察署の保護室に収容されたのは、二度とも、そんな時期です。経緯は、正直よく覚えていません。後から見た支援者の記録には、「包丁を振り回していた」と書いてありました。妻は、シェルターに避難していました。
最終的に、身元引受人に支援者の方が来られなければ、そのまま精神科病院の閉鎖病棟へ行くことになっていたと思います(その制度自体を否定するつもりはありません)。
ちなみに二度目の保護では、自死しようと包丁を持って部屋に立てこもったときに、警察官に保護されました。
通報を受けた警察官にパトカーにやんわり連れていかれ、パトカーに乗せられました。車内でも、意外と紳士に対応してくださったのですが、さすがは警察ですね。
パトカーの後部座席で、左右を挟まれて座っているのですが、一切の隙がありません。親切に話しかけてくれるのに、何この圧、みたいな。もう経験したくないです。
地下にある保護室はガラス張りで、わりと広いのに、ひたすらに閉そく感。
水を飲むのも隙間から毎回持ってきてもらわねばならず、トイレも同様でした(もちろん、警察官がついてきます)。
あとは、夜中の一時ごろだったと思います。保健福祉局?の方が来られ、簡単に事情を聴きとられました。その後は何もやることがなく、コンクリートの地下部分をガラスの窓越しに眺めるだけの、いつ出られるとも分からない数時間を過ごしました。
あれは「拘禁反応」とでもいうのでしょうか。全身がムズムズして、視界がぐるぐる回り、叫びたくてたまらなくなる。なんとか我慢していましたが、それこそ、発狂しそうでした。
そして、それでも出ることは絶対にできない。それが現実でした。
二度とも身元引受人が現れたことと、朝になったらすぐにかかりつけ医を受診することを約束させられ、部屋を出ることができました。
どんなやりとりが私の知らない場所であったのかは、妻が関わったものも含めて分かりません。「大変だった」とだけ、言っていました。
♦拒否
「私は忙しいんだから、そんなことくらいで(飛び込みで)来ないでくれ」
警察に言われたとおり、保護された翌日、朝一で受診したとき、言われた言葉です(もともと予約制でもないし、念のため事情を受付の方に説明して、受診の了承を得ていました)。
もともと、というか薄々、勘づいてはいました。
この医師と自分は、たぶん合っていないと。
例えば、「仕事」をめぐって。
医師は「辞めるしかないでしょ」と言いますが、「あなたは人格障害だから、障害年金の対象には該当しない」と言います。
じゃあ、どうやって生活すればいいのかと言えば、「貯金があるでしょう」。
いや、貯金はまだ残っているけど、それも目に見えて減っていくし、何よりも大人として働きたいんですと言うと、「あなたには、この先も無理。あきらめなさい」と、あっさり。
「貯金がなくなったら、(生活)保護でももらえばいいだけでしょ? 何でこんなことも分からないかな」
それは、理屈的にはそうでしょう。けれどこの世の中で、生保バッシングに怯え、医療機関や薬局に行くたびにお金を払わない自分を、人の目を意識し、生活全般の保護を税金から受けながら生きる。そのハードルの高さを、この人は全く理解していないんだと思ってしまったのです(これも、別に制度自体を否定するつもりはありません)。少なくとも私には、「単に受ければいいもの」ではないのです。
けれど、分かっていました。この溝は、たぶんこの先も埋まらないということを。
また、良く言えば「パターナリズム(父性主義)」、悪く言えば「頭ごなし」の医師の姿勢に、疑問を感じ始めていたのも、この頃です。
この不毛なやりとりが何週間も続く中の、何度目かの休職。それに伴い書かれた診断書には、「未熟型人格障害」との記載がされていました。これはその時点で、既に診断基準から廃止されていた、古い診断名です。
(ちなみにこの時期、こぶしにペンを握らせ包帯?でぐるぐる巻きにし、頭から出血するくらい壁に頭突きしながら猛勉強して、国家資格を取得しています。
けれどこの資格も、けっきょく今日に至るまで、日の目を見たことはありません)
そんな中での、「忙しいんだから、そんなことで」発言。
つい本音が漏れたのでしょうね。その気持ちを否定するつもりはないですが、面と向かって、不機嫌丸出しに聞きたくはなかった。
「薬出しとくから。もう、それでいいんでしょ?」と、こちらも見ずにいうので、「すみませんでした・・・・・・」と、謝って帰るしかありませんでした。
以後、受診自体が苦痛になりました。
もう、いいやと思いました。
診断名はともかく、職場には迷惑しかかけていない。
一部には事情がありましたが、お金もすごい勢いで、減らしてしまいました。
生活が成り立たなくなるのも、時間の問題。
気丈だった妻も、当時展開していた事業で大きなトラブルに見舞われ、限界を迎えていました。
心中の話も、まじめに出ていました。
全員、追いつめられていたのです。
転居してから、2年目のことでした。最後の退職が決まりました。
♦上司
最後に有資格者として就職したのは、某公的機関でした。
初めは週1の勤務から、その後週5の別業務に任命していただきました。
おそらく、ここの上司と同じチームの同僚の方々に出会わなければ、今の私はいなかったことでしょう。
特に、直属の上司の方。今でも忘れません。
こちらの体調を気にして、何度も会議室で心配してくれたこと。
治ったら試験を受けて、ぜひ正規職員になってほしいと言ってくれたこと。
退職が決まった際には、「使える制度は全部使いなさい。あなたのような若者が、死んでしまうのは絶対にいけない」と、何時間もかけて説得してくださったこと。
上述の福祉制度は、ほとんどこの上司の勧めで受け始めたものです。
情報をたくさん提示し、都度進捗状況を尋ね、最後の最後まで、それこそ建物の出口まで見送ってくださいました。
同じチームの方にも、随分と支えていただきました。
少数精鋭という感じでしたが、年齢だけ上で新米の私にも、とても親切に関わってくださいました。
その後さらなる転居があり、もうお会いすることはないでしょう。
けれど私はこうして、皆様にいただいた厚意で、今生きています。
どなたもができる経験じゃない。私はまだ、運が良かった。
その経験がどなたかのヒントになりますことを、願っています。
♦次回
今の主治医との出会い、診断名確定までの経過と、治療の経過。
支援制度の利用法などを掲載したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございます。
私が地獄から戻るまで。(双極性障害を患ったお話) 西奈 りゆ @mizukase_riyu
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