ベタ慣れ度MAX【この先の未来へ】
「ど、どうしたんですか、このケーキ箱は!?」
「わたしに…?あ…誕生日…」
「いえ、忘れてたわけでは…。
あなたに拾ってもらった大切な日ですから…。
ただ少々、面食らってしまいました。
インコ用のケーキの何倍も大きかったので」
「開けていいんですか?」
(ケーキ箱からケーキを取り出す音)
「…わぁ…!!わたしの大好物のブドウとリンゴがこんなにたっぷり!!」
「人間はこのくらいの量が普通…?
いや、どう見ても多いですよ」
「…わたしのために贅沢してくれたんでしょ?
…無理してませんか?」
「気にしないでいいって…ふふ、あなたって人は」
「わたしがインコだった頃、あなたがかじったリンゴを肩の上で食べさせてもらってましたね」
「わたしがおいしそうにするから、よく買ってきてくれて…嬉しかったなぁ」
「果汁がとってもおいしかったです!
…安心してください、床に皮を撒き散らすことももうありません」
「わたし、人間ですから」
「なんでこんな話をするのかって?
…人になって、インコには毒だったチョコレートも…梨も…味わえるようになりました」
「ただ…たま~に無性に恋しくなるんです。
あなたに甘えてばかりだったあの日々が」
「今でも甘えてるって…。
…む、まあ、そうですけど。
何も気にせず手放しでは甘えられないな~と…」
「これでも、わたしなりに人としての葛藤というか、インコのときにはなかった悩みを抱えてるんです」
「…今のわたしは人間で…あなたとは性別も違うわけで。
…もし、あなたに今後大切な人ができたときに…わたしがいるせいで諦めなきゃみたいになったりしたら…わたしは…」
(ごそごそと小箱を取り出す音)
「…これは…プレゼント?
このタイミングでですか…?」
「…ありがとうございます。
ケーキだけでも充分なのに…」
「去年も一昨年も、とっておきのおもちゃを用意してくれて…ふふふ、今年はどんなおもちゃだろ…」
(ガサガサと小箱を開封する音)
「ふぇ…?
…指環…?」
「か、かわいい~!」
「…内側?…あっ、これって…あなたとわたしのイニシャル…?」
(数秒の沈黙)
「…な、何指が似合いますかね~?!
あなたが嵌めてくれませんか…?」
(金物の音と肌の摩擦音、指環が嵌められる)
「……左手薬指って…。
これから先の人生を2人で一緒に飛びたい……
インコとかけたつもりですか?
…別に上手くないですよ…」
(嬉しそうに、はにかみながら)
(再び数秒の沈黙)
「…っ!ふ~~~~っ!!」
(フルフルと全身を歓喜に震わせる)
「ん~~~~~っ!!」
「いきなり、抱きついてごめんなさい」
「好き♡…好き♡…好き♡…大好き♡…はあ♡
大好きです…♡」
「大好き♡…大好き♡…大好き♡…ん~っ♡、
大っ好きです~♡」
「…抑えられません…気持ちがなんかっ、もう
「大好きです♡大好きです♡大好きです♡
愛してます♡
あなたの全てを…わたしにください♡」
「…っ、はぁっ、もう、もう!本当に!あなたが…!あなたでよかった!!」
(泣きながら)
……………………………………
「こういうときなんて言えばいいんでしょう?」
「…お受けします?…OKします?
おうけとおうけいでダジャレみたい…?
あなたねぇ…今、真面目に考えてるんですよ…」
「…これが答えです。
ん、ちゅ~♡」
「いつもより長い?
誓いのキスですからね、おやすみのキスとは違って然るべきです」
「もう一度、ちゅ~♡
誓いのキスが一回だけなんて誰が決めたんですか~?」
「その…これから先の人生を2人で一緒に飛ぶ…
でしたっけ?」
「わたし飛ぶのは得意ですから、置いていかれないようについてきてくださいね」
「…ふぅ。
この先ずっと!わたしはあなたのインコちゃんで…あなたの女の子です。えへへ♪」
………………………………………………………
ベタ慣れ度MAXのインコちゃんが女の子になった とりどり @ru_ruru
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