ベタ慣れ度MAXのインコちゃんが女の子になった

とりどり

ベタ慣れ度1【おやすみのちゅー♡】

(家の扉を開けるガチャッという音)


「あ!おかえりなさ~い」


「え?誰?って…」


「この美声に覚えはありませんか?

ピー!ピーッ!……ひどい!!」


「わたしですよ!あなたの愛しのイ・ン・コ!」


「かわいい女の子だなんて…、意外ですか?

性別知らなかったんですね」


「や…本当にインコですよ!信じてください!」


「さっき夢を見たんです」


「知らない声に『人間になりたい?』って聞かれて、はいって答えました」


「それで…起きたらこうなってました!」


「あ、疑ってますね~?

ほら、よ~く見てください、このサラサラの毛並み。あ、じゃなくて髪!」


「ほら、あなたが毎日なでてくれた髪ですよ~」


「なんですか?不思議そうにして。

ふふ、人の言葉は自然に理解できたんです!

知能だってこのとおり!すごいでしょ?」


「うぅ……と、とにかく、今日もお仕事お疲れさまです!」


「いつもはもう寝てる時間?

…それが平気なんですよね、人間になったからですかね?」


「あ!そうだ…ご、ごめんなさい!!

体が大きくなった拍子に…その、ケージが…おうちが壊れちゃいました」


「あの、今からお風呂に入って就寝ですよね?」


「わたしもあなたのベッドに入れてもらえませんか…!?」


「嫌…ですか…、ああ気にしないでください。

そうですよね、おかしいですもんね」


(ボソボソと呟くように暗いトーンで)

「…わたしって不幸なインコだ…。

飼い主さんに見放されて、家から追い出されて、最後にはカラスさんやネコさんに見るも無惨な姿にされて、食べられる運命なんですね……」


「……!ベッドに入っていい?

ほ、ほんとですか~!

じゃあ、気にせずお風呂入ってきてください♡」



      …………………………



(ベッドの木材がきしむ音)


「一緒に寝たら潰しちゃうから…って、ベッドの上では遊ばないようにしてましたよね…」


「なんで知ってるのって…だから、わたしがあなたの愛しのインコちゃんだからです!

いい加減、信じてくださいよ~!」


(ベッドの上で布団をかぶる音)


「うふふ、あ、すみません。

はじめて隣で寝られるな~、幸せだな~って」


「わたし、あなたのこと大好きなんですよ?」


「あ、照れました?照れましたよね?!」


「…すごいあくび…すみません、お疲れですよね…。明日も朝からお仕事ですもんね」


「寝ましょうか」


「じゃあ、いつものやつお願いします」


「なにとぼけた顔してるんですか~?

いつもしてくれてたでしょ」


「違います!

おうちに戻す前にやってたじゃないですか!

おやすみのちゅー♡」


「ほ~ら~、恥ずかしがってたら、いつまで経っても眠れませんよ」


(甘えたような高いトーンで)

「ちゅーして♡ちゅーして♡してしてして~♡」


「なんて…まあ、あなたに恋愛経験がないのは、わたしが一番わかってますよ」


「女の子を前にすると緊張しちゃうんですよね、そういうところ、かわいいです」


「でも、わたしは女の子である前に、あなたのインコなんですよ?

…だから、わたしといるときだけは肩の力を抜いてください」


「そうです…ふふ、素直ないいこですね」


「おやすみなさい、ちゅ♡」


(耳元で)

「…これからい~っぱい、受けた愛をお返ししますからね…」



🦜🦜🦜🦜🦜🦜🦜🦜ベタ慣れ度が2にUP!!⤵

   次回ベタ慣れ度2【くんくんすんすん】





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