バスの中 これからのこと
(バスの扉が閉まり、発車する音)
「あ、バス動きましたね」
「無事に下山できて良かったですねー。安全第一だったのでホッとしました。途中、転んじゃいまいしたけど」
「初めての登山はどうでした? 想像していたよりずっと楽しかった? そう言ってもらえると嬉しいです!」
「また行ってもいい? そう来なくっちゃ!」
「今度は別の山に登ってみましょうか! 初心者向けの山、まだまだたくさんありますから」
「それで、慣れてきたら泊りで行くのもいいですね。テント泊できる山小屋もあるんですよ」
「一緒にテント設営して、ごはん作って、夜は星を眺めながら眠くなるまでお喋りして~。はああ! 想像しただけで楽しみ過ぎる!」
「夜明け前から歩き始めて、山頂で日の出を見るのもいいですね」
「え? 朝起きられる自信ない? 大丈夫! 私がちゃんと起こしてあげますから安心してください!」
「先輩が山を好きになってくれて良かったぁ。趣味を共有できる彼氏って最高ですね!」
「ふぁーあ」(あくび)
「はしゃぎ過ぎたせいかな? 眠くなってきちゃいました。もっと先輩とお話したいのにー……」
「ん? 寝ててもいいよって? 先輩、優しい」
「優しい先輩に、ちょっとだけ我儘を言ってもいいですか?」
「肩に寄りかかってもいいですか?」
「いい? ありがとうございます」
(ポスッと肩に寄りかかる音)
「ああ、これ、凄く落ち着く。先輩の匂いだ」
「落ち着きすぎて、どんどん眠くなってしまいますー……」
「ちょっとだけ、寝かせてもらいますね。着いたら教えてください」
(バスのエンジン音と、すーう、すーうと寝息の音が交る)
「先輩、大好き……」(寝言のように)
◆
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