偶然に出逢った、共に心が傷ついた少年と美少女。
初めは唯の“ご近所さん”として互いの不便を補っているだけのはずだったのに、いつしか心を許せる間柄となり、傷を癒し合い、ついには真の恋人同士に変わる。
転生もの・異世界ファンタジーではなく、現実世界の、どこかの街で起きていそうな出来事、作者視点でなく主人公視点と一人称語りでの物語進行。
故に、読者も感情移入し、また主人公とヒロインの恋路を見守る先輩のような気持ちにさせられます。“いいぞ、いいぞ、その調子だ”と頷いたり、“何を躊躇ってるんだ!好きなんだろ?一歩踏み出せよ!”と背中をどついてやりたくなったり。
正編は作中時間の経過が高1の3学期分だけであまりに短いため、ファンから後日譚のリクエストが多数寄せられた名作です。作者の最高傑作でもあると思います。(当初は星2つとしましたが読み進めてから1つ追加しました)
本作を読む時のBGMには寺嶋民哉「『南くんの恋人』サウンドトラック」が、最終話後半部分には今井美樹「瞳がほほえむから」(2番)がお勧めです。
(2022年9月追記:第3回HJ小説大賞一次選考、ドリコムメディア大賞中間選考の通過作です)
やはり視覚障害者と健常者の恋模様を描いた「恋です! ―ヤンキー君と白杖ガール―」を思い起こさせます(もちろん発表は本作の方が早い)。