夢は見るもの、悪夢は……食べるもの?

 最初に作者にお詫びします。冒頭の描写にもかかわらず、第1話を読んでいる間ずっと、主人公を「頭部だけバク(動物)のハンフリー・ボガート」で脳内描写してました。それはただのトレンチコート着たバクな気がしますが、だってハードボイルドなんだもん。
 夢を喰らうとされる魔獣・バク。ファンタジー世界との相性も良く、バクを扱った作品は決して珍しくありませんが、この作品は別格。「悪夢を切らす」という概念。悪夢を紅茶に入れてリラックスする主人公。そして往年のハードボイルド小説を彷彿とさせる主人公の言動。不思議な、しかし妙に懐かしい雰囲気を楽しめる一作です。

「今夜もこの作品読むの?」と聞かれたら、「そんな先のことは分からない」と答えるのがハードボイルドの王道回答ですが、私はボガートではないのでこう答えます――「読むに決まってんだろ!」

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