死を前にした時、人は何を思うのか。せつなくも穏やかであたたかい物語。

主人公は余命宣告を受けた菊永という女性です。
彼女は早くに母を、そして祖母も亡くしているのですが、そんな祖母が「この家の女は、夏に死ぬのよ」と言ったことから、自分もこの夏に死ぬことを受け入れています。
これだけ聞くとどんなに悲しい作品だろうと思われることでしょう。しかし、本作の魅力はその悲しさではなく、せつなくも綴られる穏やかさにあるのです。
読み終えた時、自分もまた残りの生を大切に生きようと思えるあたたかい物語です。

その他のおすすめレビュー

未来屋 環さんの他のおすすめレビュー344