4.膝枕
「──しーっ、昼寝部の活動は文化祭でも怠らずするからね」
(文化祭本番。空き教室。廊下側の壁に二人並んで座っている)
(外からは文化祭が盛り上がっている歓声やBGMが扉窓越しにうっすら聞こえる)
「午前中から忙しかったな〜。大盛況だったんだよ、メイドカフェ」
「やっぱり内装こだわったからかな? メニューはおやつとジュースを入れて出しただけだもんね」
「そ・れ・に。君も実行委員お疲れさま! 校門で受付だっけ? 人多くて大変だったでしょ?」
「そうでもないって強がりだな〜。だって君さ、本番カフェに参加できないからって、実行委員の仕事終わったら毎日来て手伝ってくれたもんね。君が作ってくれた看板で私たくさんお客さん呼んだんだから〜。ほんと、ありがと♪」
「……え、私が可愛いおかげでって……。も、もう、どこで覚えたのそんな冗談! 変なこと勉強してるでしょ……」
「──そういや君って、私がメイドしてるとこ見てないっけ?」
「だよね。そっか。ふむ……」
「よぉ〜し。じゃあ気分良くなったし、この昼寝は私が君専属のメイドとして一緒に寝てあげる!」
「こっほん。……さっ、ご主人様。私を寝かしてくださいませ!」
「メイドの方が寝かせられるのはおかしい? もう、細かいこと言ってないの」
「ではご主人様。地べたに座って足伸ばしてください。ほらほら〜」
(膝を伸ばし床を擦る音)
(するとすぐに勢いよく彼女は太ももに飛び込んでくる)
「ふふんー。ご主人様。この枕も結構心地良いですね〜」
(モミモミと揉まれる)
「こう、足の外側が固いけど、内側が柔らかい。ご主人様の中にどんどん吸い込まれていきそうだよぉ……。やっぱりご主人様も男の子ですねー」
「え? そうそう。男の子はこんな感じで脚の筋肉付きやすいんです。女の子はね、付きたくないものが付いちゃって大変なんですよー。ほら、それこそこの辺とか、最近ムチっとしちゃってぇー」
(仰向けに眠る久寝、自身の太ももを触るために膝を立てる。メイド服のスカートが捲れて太ももが露わになるも彼女は直さない)
「──ねぇ、ご主人様も触ってみて」
「別に怒らないよ〜。許可出してるんだし。それに今は君の専属メイドだよ、私。今だけは好きにしていいんだよ?」
(おそるおそる久寝の太ももを触り)
「……んっ」
(さすり)
「まだダメ、そっからは……」
(揉む)
「んん……」
「……む、ムニムニ、むにむにムニむに。むにゅぅ〜ポン」
「なに? ただご主人様がメイドの太ももを揉んでいるところに効果音つけてるだけだよ〜ん」
(ペシンと軽くおでこを叩く)
「あたっ! ちょっと、叩くのダメだよ! 触るならよしよし! もうご主人様知らない! ふて寝してやるもんねー!」
(うつ伏せに寝直す彼女)
(──しばらく文化祭の環境音と目の前の寝息が聞こえる)
「……ふぁっ、え、今どれくらい寝てた!?」
(ガバッと起き上がる彼女)
「そ、そんな時間経ってなかったか。ふぅ、危ない……なんかすごく落ち着くというか、いい匂いというかなんというか……とにかくそんな凶器を隠し持ってたなんて卑怯だよ!」
「ほんと、君は全身枕だよ……昼寝部最強兵器だよ、恐ろしい……」
「うーん、でももっと寝たい……。私はもう今日は店番ないし、君はあと30分でまた実行委員だっけ? じゃあもうちょっとお昼寝できるね!」
(再び久寝は仰向けで膝枕に寝る)
「ん? あー、うん。大丈夫だよ、友達はみんなシフト入ってたり他のとこ見に行ってたりするから。今は君と寝たい気分なの」
「……というより、本当はずっと一緒にいたいなというワガママワゥワゥワゥ……」
(久寝は言いながら体を回転させてはうつ伏せになったため、最後はズボンに声が埋もれて聞こえなかった)
「うぅぅ……ねでやるぅ……」
(すると、すぐ近くで男女の話し声が聞こえる。声はこちらに近付いている)
「誰か来てる……? ど、どうする? ふぁっ、ちょっと君、どこに!?」
(彼女の手を引っ張り、すぐさま近くの身を隠せる場所に二人で入った)
(同時に教室の扉が開く音)
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