あとがき

 ここまでお読みくださいましてありがとうございます。

 この物語は二〇一七年に書いた物語です。今回、「カクヨム」掲載にあたって話数分けし、一部、表現などを手直ししましたが、物語自体は変えていません。


 私は「夏祭り」というのをほとんど知らずに育ちました。

 お盆(月遅れのお盆。八月一三日~一五日)のあいだ、家族で退屈にだらーっと過ごしていたのが私の「夏のお祭り」だったのかも知れません。

 一時期、近所の空き地にやぐらを組んで、盆踊りが行われていたことがありましたが、そこは別の町内だったこともあって、行ったことはありませんでした。やがてその空き地が開発されて集合住宅が建ち、盆踊りは行われなくなりました。

 また、少し離れた遊園地では、夏休みのあいだ、毎日、花火大会をやっていました。その記憶は:

 『夜風』「第10話 もうすぐだよ」

https://kakuyomu.jp/works/16817139557255400350/episodes/16817139557256147777

に反映しています……って、宣伝ですね。

 あと、小さい子どものころは、お盆が終わったあと(よく覚えていないけど八月二三日?)に「地蔵盆」が行われていました。まだ小さかったので、どういうことをやったかはよく覚えていません。家から何かお供えを持って行って、何かいっぱいもらって来た……という漠然とした覚えだけが……。

 私が大きくなってからは地蔵盆は行われなくなり、そして、最近帰省してみると、その地蔵盆を行っていたお地蔵さん自体がなくなっていました。


 そういうなかで、この物語は、そんな私が、盛大な夏祭りが開かれているある都市を訪ねたときの体験をもとにして書いたものです。

 基本的にフィクションですが、そのお祭りでりんごのシャーベットを買って食べたのは私自身です。

 はい。

 すみません。

 女子中学生ではなくて。

 で、私は、そのときからずっとこれは焼きりんごのシャーベットだと思いこんでいました。今回、ゴオルドさんにいただいたコメントをきっかけに調べてみたところ、焼きりんごではなかったようです。

https://kakuyomu.jp/works/16818093081840413424/episodes/16818093081844438411


 ギリシャ人の祖とされるヘレン(ヘレーン)は、本文に出て来るように、人類に火を与えたプロメテウス(プロメーテウス)の孫にあたり、その子孫からさまざまなギリシャ人の部族が生まれた、ということになっています。

https://kakuyomu.jp/works/16818093081840413424/episodes/16818093081843178188

 古典時代のギリシャ人は自分たちをヘレンの子孫という意味で「ヘレネス(ヘレーネス)」と自称しました。現在でも、「ギリシャ共和国」の公式英語名称は Hellenicヘレニック Republicリパブリック です(外務省のページで確かめました)。

 一方の女性名としてのヘレン(現代ギリシャ語では「エレニ」というようです)は、神話上の名前はヘレネーで、物語に出て来るとおり、へレネーが誘惑されてトロイアに行ってしまったことがトロイア戦争の原因になりました。

 最後に「ηエータ」がついて「エ」の音が延びるのは古代ギリシャ語(アッティカ方言=アテネのギリシャ語やコイネー=共通ギリシャ語の特徴。そうならない古代ギリシャ語の方言もある)の第一格変化の女性形の一つですが、別に知佳未ちかみを「ちかみー」や「ちかみぃ」にする必要はありません。

 気に入ってるなら、べつにいいけど。

 ちなみに、「みんなで力を合わせてヘレネーを取り返そうとした人たちだからギリシャ人を「ヘレンの子ら=ヘレネス」という」と思いこんでいたのは私です。ああっ! すみませんっ。


 ステージ上で咲織さおりさんたちのバンド「サン・トワ・マ・ミー」が演奏している曲は (What's So Funny 'Bout) Peace, Love and Understanding という曲です。ニック・ロウ Nick Lowe の作詞・作曲で、エルヴィス・コステロとジ・アトラクションズ Elvis Costello and the Attractions のヴァージョンでよく知られています。この曲をジャズにアレンジしてインプロヴァイズしている、という設定です。詩織しおりちゃんの「ふん、ふん、ふん、ふん、ふ、ふん、ふん、ふ、ふーん、ふふふふぅーぅん……」に歌詞を合わせて歌えたら貴方はすごい!

 バンド名「サン・トワ・マ・ミー」は、サルヴァトール・アダモ(ベルギーの歌手なのだそうです。昔はたんに「アダモ」と呼んでいたと思います)の曲で、日本では、私たちより上の世代には越路こしじ吹雪ふぶきの歌で、私たちと同世代から少し下までは忌野清志郎のRCサクセションの曲として、広く知られている曲の曲名です。

 はい。歳がバレます。


 というわけで、夏に合わせて、中学校最後の夏の中学生たちの物語をお届けしました。


 夏が終わってしまう、というのは、寂しいです。

 が!

 「夏が終わってもまだ暑い、冷房を止めるとたちまち室温34度」とかいうのはなんとかしてくれっ!


 それでは、またお目にかかれるのを楽しみにしております。


 2024年8月28日

 清瀬 六朗

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夏のヘレン 清瀬 六朗 @r_kiyose

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