やわらかい歌と、鬼気迫る歌が大波のように交互に詠まれ、その迫力にだんだん吸い込まれてしまいそうになる。カクヨムでもっとも有名な歌人のひとりによる、カクヨムを代表する歌集のひとつ。
気になった歌、いくつか抜粋
「感じない 涙こぼれて何故だろう 心は凪いで 思い出せない」
「ぶくぶくと 気泡が上がる 下から眺む 吐息は空へ 本体は底へ」
「捧げてよ わたしにだけ、と 誓ってよ 青く小さなスミレの花を」
「赤い目だ 大勢の人 その向こう 空も赤くて こちらを見てる」
「どこにいる? わたしの時間 喰らう奴 わたしに返せ わたしを返せ」