第5話 製作上のネタバレと解説

読み返したら分かりにくかったの解説を置いていきます。


 ぶっちゃけ何が原因だったかというと、沼と村人の慣習のせいです。

 不作の度に口減らしを沼に投げ込んだ結果、陰の気が凝り魔の性質を得たのが始まりです。

 餓えて溺れ死に、沼底で怨嗟の声を上げる亡者に応えるように、人が投げ込まれるたび、雨が降ったり止んだりして、次第に雨乞い、晴れ乞いの権能を利用されるようになりました。

 物語より過去、鳴海法師は雨降らしの宝珠を受け継ぐ寺の人間でした。後継者争いで親族が殺され、父の遺言により宝珠を持ち出し、諸国修行と偽り追手から逃亡します。

 彼が旅の途中に立ち寄ったのが、作中の村です。沼に人を投げ込むのを嫌った村人が、藁にもすがる思いで頼った遊行僧が、天候を操る宝珠を持っていたわけです。

 結果、鳴海法師は宝珠を奪われ、生きたまま沼に投げ込まれました。沼の底で彼は息絶えましたが、仏に帰依した龍神の血を受け継いでいたため、亡者にはなりませんでした。 

 しかし沼から離れること叶わず、力も記憶も奪われ、霞のように沼の周辺を茫洋と彷徨う霊魂に成り果てました。

 そんな時に現れたのがりゅうでした。りゅうは偶然、鳴海法師と波長があい、存在を感じることができました。

 りゅうが名を呼び、法師自身のことを聞き出すたびに、法師の存在を強く確立させ、沼の呪縛から引き離しました。

 自分の使命を思い出した鳴海法師は、りゅうを利用して宝珠を取り返します。

 この時、法師はりゅうを生きて返すか迷いましたが、山向こうの雨雲に血の匂いを嗅ぎつけ、りゅうの故郷がいまだ戦乱のさなかにあることを知りました。

 戻っても巻き込まれて死ぬなら、沼で死んでも変わりあるまい。

 何、死ぬのは同じ事、一人くらい伴に道連れても良いだろう。

 法師はそう判断して、りゅうを見殺しにし、命尽きる前に己の目玉を与え、蛇に変質させました。

 法師は、目覚めたばかりの弱い力では、陰気の巣窟と化した人食い沼を調伏することは難しいと感じていました。

 それまで長い時を一人ぼっちで沼にとらわれる……背後に忍び寄る、凍るような心地に至った時、法師の心にほんの少し魔が差しました。

 法師の記憶を取り戻させ、使命を果たした変わりに永遠の孤独をもたらした少女。人と触れ合うことの充足感を思い出させてしまった憎くて眩しい少女を、少しばかり此方へ引き込むことにしたのです。

 めでたく少女は目覚めました。自己が確立し、龍神の血により水神の格を得ていた法師から力を与えられ、怒りの炎を吐き散らし、雨嵐を呼ぶ蛇と化しました。

 騙した法師への恨み、自分を利用した村への怒りに狂うりゅうの炎は収まらず、7日7晩嵐をもたらし、村を湖に沈め、沼の底の亡者をすべて浚い破壊したあと、法師はりゅうを調伏して己の眷属としました。

 その後、法師はりゅうを鎮め、龍神の血が馴染むまで眠らせることにしました。 

 冬になると湖が凍るため、弱っていた法師も眠らなければなりません。人食い沼は力を削がれたとは言え、以前と同じく法師を縛ります。

 長い時を過ごす伴侶を見つけた法師は、眠りに落ちるりゅうに穏やかな顔で語りかけます。春になれば、あなたと話したいことがたくさんあるのだと――


 法師がりゅうに若干依存して人外に寄った思考で自分のものにしちゃったんですね、そういうの大好きです。

 

 この後、沼の陰気を祓い力を削ぎ続けて小石サイズまでに弱らせ湖底に魔を封印し、並行して切り刻まれても丸焼けにされても諦めずに何百年もかけてりゅうを根負けさせて夫婦の契りを結んで現代は夫婦神として信仰を集めて現世にも潜り込んでハッピースローライフしている訳ですね。

 りゅうが明るくて後引かない性格で良かったですね(今でも許してないしすきあらばボコボコにしたいとは思っている)。

 沼の魔はどうしても水気の澱む気質によって滅する事はできなかったので、仕方なく封印してあり現代でもそれは変わらずあります。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

沼法師 葉(休止中) @suiden

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ