白く薄い闇の中をゆく幻の野辺送りと呪い

これは前書きにもある様に、普段は心を
温める人間模様を描かれるのを得意とする
作者が本気で臨んだ、肝を冷やしめる
ホラー作品であるという。
 元々、作者は登場人物の心情をとても
丁寧に描き出すのに長けている。そして

  この、出だしの野辺送りの情景の
 美しさと不穏さである。

黒揚羽が舞う廼辺を、青々とした田圃の
畦をしめやかに行く葬送が、精緻な描写に
よって鮮やかに目に浮かぶ。

          更に、そこからの

  呪いの急転直下。

これは是非とも実際にその目で臨場感と
恐怖を味わって欲しい。


こけしの呪いは解けたのか?
答えは文末にあるとは限らない。これは
三日月の幻なのか、それとも…。

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