エンディング
同じ月の吉日、竹内 弘之氏と堀 栞理嬢の結婚披露パーティが開かれた。康平にもSmoke&Spirits宛に事前に豪華な招待状が届いていた。マスターが満足そうに康平に手渡しながら尋ねる。
「出席するのか?」
「まさか」
その日、パーティ帰りらしい、既にほろ酔いの若い女性客が一組、Smoke&Spiritsに来ていた。
「わぁ、麻有ちゃん、素敵なお店ね」
「良かった、気に入ってもらえて」
女性客の一人は堀内 麻有嬢であった。一緒に来た女性二人は御学友のようだ。本日の結婚披露パーティでの演奏について盛んに話し合っては楽しそうに笑い転げている。
しばらく笑っていたが麻有嬢が席を立ち化粧室へ向かう。カウンターの横を通るので、必然的に康平の背後を通ることになる。
「探偵さん」
「こんばんは磯村さん」
「私、来週からウィーンで音楽学校に通うことになりました。必ずソリストになってみせますから、聴きに来てくださいね」
「楽しみです」
麻有嬢が化粧室へ入っていく。テーブルに残されている二人が声を潜めた。
「麻有ちゃん、留学費用どうやって貯めたの?」
「貯めてないよ、出してくれる『パパ』を見つけたらしいよ」
「えー、ウソ、そこまでする?」
「しかも、ウィーンにお部屋も見つけてもらったらしいよ」
俺にはあの
岡部嬢の事件を捜査している鮫島署の竜ちゃんからは康平のスマホに時折LINEが届いている。竜ちゃんはご機嫌の様子だから捜査は上手く行っているのだろう。麻有嬢は今年度分の学費は支払って貰ったようだが、この分では来年度分は保証されていないだろう。
それはそうと、俺は栞理嬢が持っていた小瓶の中身がまだ気になっている。
おわり
★この物語はフィクションです。実際の人物や団体とは一切関係ありません。
黒色の研究 薬瓶の蓋 @HoldTabDownTurn
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