第7話 魔物の森からの急報

『ん!・・・』

 思考に沈む私の側で、アントワが何か言ったような?

「アントワ?何か言ったか?」

『主様、配下の者が救援要請しておる』


 知能の高いオーガは咆哮、オーとガの組合せで状況を報せる事が出来るそうだ。

 私は聴力も増したようで、微かに《ガガガ・オーオーオー・ガガガ》と繰り返される咆哮が聞こえる。


『主様すまぬが、配下の所へ確認に行って来る』


 アントワは通りを走り抜け、防護柵を飛び越え森に向かって行った。

 一瞬考え、隣のエレナに「森の調査をして来る」と伝え、私も森に向かった。


 昨日までの事が嘘のように、身体が軽く自由に動く「これで充分だ、能力はこれ以上要らん」流石にクイーンオーガの本気の走りに追い付く事は出来なかった。

 ついに見失ったが《ガガガ・オーオーオー・ガガガ》の咆哮に向けて全速力で走った。



 オーガの咆哮止めたようで聞こえなくなったが、前方から戦いの怒号が聞こえて来た。

 ここまで、全力疾走したが息切れもせん、賢者の私は元々頭脳派であって筋力バカでは無かったが、魔法に頼らずとも拳で戦えそうな高揚感がある。


「森の中にこんな開けた場所が有ったのか?」

 オーガが30頭ほどに対し、100頭以上のオークが取り囲んでいた。

 1対1なら圧倒的にオーガの方が強いが、4倍近い数が相手では苦戦しているようだ。

 今までなら魔物どうしの争いなど傍観決め込む所だが、アントワが戦っているなら加勢するしかない、森の中では火焔攻撃は出来ん・・・ならば氷だな、外縁のオークを狙い。

「アイスランス!!」

 10本ずつの氷の槍が、繰り返しオークを襲い、一瞬で50頭ほどのオークが倒れた。


「アントワ!オークども皆殺しで良いか?」


『主様!援護助かった!!出来れば皆殺しにしてくれ!』


「了解!」

 腹をぶち破ると糞便で肉が喰えんようになる。

「アイスアロー!」

 派手では無いが氷の矢が、オークの眉間に突き刺さり確実に絶命させて行く。


「おっと!!」

 アイスアローを潜り抜け、一際ひときわ巨大なオークが襲って来た。

 身長差の為、汚ねぇが金玉を蹴り潰し、前屈みになった所でコメカミ部分をぶん殴った。

「バインド!」

 死んではいないようなので、反撃されないよう拘束しておく。


 アントワの方を見ると、オーガ達がオークを殲滅させていた。

 戦いの場からオークが5頭逃げ出ている「アイスアロー!!」連発し全滅させた。


『主様、そのオークが第6四天王だ、バカで統制が利かんと、魔王様も放置して居った』

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