1章 オーガの主

第2話 呪いの後遺症?

「ケンジャさん!!」

 聖女ウインは駆け寄り、解呪の魔法を繰り返し倒れた賢者に掛け続けた。

「ウイン、オジイはどうなった?」

「分かりません!解呪の魔法と治癒魔法をずっと掛けて居ますが、効果が・・・」

「死の間際、怨みを込めた魔王の呪いは強烈な物だったが、流石ケンジャさん生きては居るようだな」


 5年の苦労の旅、老け込んだ賢者では有るが60歳でも勇者パーティーの一員、かろうじて意識を取り戻した。


「よかった!!ケンジャさん!動ける?」

「ん?心配掛けたようだな、問題無い動ける」

 とは言ったが、全身に脱力感があり、まともに身体を動かす事が出来ん、私はノロノロと立ち上がった。


「オジイ王都に凱旋がいせんするよ!!」

 若い勇者は私をオジイと呼びしたってくれてる。

 勇者の転移魔法が私達四人を包み、一瞬で王都に転移した。






 疲れる式典が続き、最後に私達は国王様から各々それぞれ伯爵位を授かった。

 式典の最中倒れた私に国王から労いの言葉と領地を下賜かしたまわった。

「賢者ダイ!そなたの功績を称え辺境伯に陞爵し、ヘブン一帯の領主に任命する!」



 ※今まで全ての拙作は、爵位陞爵にあえて昇の字を用いていました。

 理由は明治政府が日本国貴族に関する法令に陞の字を使っていたのですが、戦後進駐軍政策で日本の貴族制度が廃止され明治政府の法令も無くなりました、従って、昇の字で法令に反しなくなり、あえて難しい陞の字を使う必要が無くなった訳です。

 今回陞の字を使った理由は、転移転生物で無く、日本と関係の無いファンタジー世界である為であります。




 ヘブン一帯とは、魔王国と我がギリス王国のさかいで、万里の防壁が築かれた最前線辺境の地であった。

 現在復興が目覚ましく活気に溢れた領地ではあるが、療養のため保養地として勇者パーティーを抜けさせてもらい、一際ひときわ辺鄙へんぴな寂れた村を訪れる事にした。


 私の覚束おぼつかない動きを心配し、アスカル達が転移でヘブン領都に連れてきてくれ、私達勇者一行は大歓迎で迎えられた。


 アスカル達は2日領都に滞在し、各々の領地に帰って行った。

 暫く領都で過ごしたが、私は名目領主であり運営に期待はされていない、代官に全て丸投げして酪農のヒナビ村に向かった。


 代官のカンダの反対を見すこし、私は勇者パーティーの賢者だ!と押しきり空元気を振り絞り旅立ったが、思いの外身体が動かん、ヒナビ村に2日のはずが5日目になっても村にたどり着かん。

「道を間違ったか?だが迷っては居らんぞ!」

 この状態を世間一般では迷って居ると言う。


(しかし、結界を抜けて来た魔王の魔法陣、私は神代文字は苦手だが、魔法陣の中心の文字は呪では無かった!呪の口が違い、ネが付いて読めんが『祝』となっていた・・・思い違いでは無い)


「・・・けて」

「ん?何か聞こえた!」

 声の方に急いだが、自由に動かん脚め!!


 たどり着いた森の中、少し開けた所に魔物とにらめっこしてる少女がいた。


「バインド!」

 私は魔物オーガをバインド拘束し、少女に話掛けた。

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