第5話 エレナの料理が物凄く旨かった

 エレナの隣が程度の良い空家との事で案内してもらっている、村の子供達4人がアントワにまみれ付いてるが、アントワは別に気にしていない様子だ。

「アントワ嫌だったらはっきり子供達に言って良いよ」

『主様、われはこの状態は好ましく感じる』


 子供達の相手するのが楽しいか?オーガとしてどうかとは思うがあの魔王軍との総力戦に参加しなかった四天王?だ、非常な変人?変オーガなのだろう。


 空家に着いたようだ、エレナがこっちを見てる。

「この家だけど、気に入らなければ別の家に案内するよ」


 村の全ての家と同じ作りの平屋だ(見分けがつかん、村の中で迷わん様に気を付けねば)屋根に異常は無さそうだ、雨漏りさえしなければどんな家でも野宿よりなんぼかましだ。

「これで問題無い、エレナの病気の弟、私が診察しようか?」

「えっ?ジイちゃんは魔法使いでしょ?」

「薬の調合は得意だよ」


 と言う事で病気の弟君の診察を始めた。

 額に触れると常温より高めだが、高熱と言うほどではない。

 エレナは朝、白湯とムギかゆを食べさせたとか、その後手を貸して自力で歩いて便所に行った。

 便は少し軟便なんべんだったそうだ。


「大丈夫だ、子供がよく熱を出す所謂いわゆる知恵熱と言うやつだ、これを飲ませて安静に寝かせて置けば明日には元気になる」

 私はエレナに回復薬を渡した。

「えっ!こんな高価なお薬貰えません、熱冷ましの薬草飲ませます」

「私が作った回復薬、遠慮する事はない」

「ジイちゃんって、ものすごく凄い人だったのね!!」

「うんうん、それほどでも」

 私が勇者パーティーの賢者で、辺境一帯を修める辺境伯と言ったら、エレナどんなリアクションするだろう?言わないけど。



 弟君が寝たので、家の掃除を手伝うと言ってくれた。



 3メートルの長身アントワは蜘蛛の巣を取り払って、私は床に積もったほこりき出し、エレナが掃除そうじ居間が一部屋に寝室と台所に便所、小さな家の掃除は直ぐに済んだ。

 ベッドのマットレスを外に出し、埃を叩いて西日だが日光消毒、その間にエレナが夕食を作ってくれるそうだ。


 する事が無くなり、アントワとぼ~っと空を眺めている、茜色あかねいろの空を見てると5年の長き戦いの日々が嘘のように思える。


 掃除の間の雑談でエレナがなんと15歳と分かった、因に弟君は12歳ソウト君って名前だ。

 それよりエレナが15歳とは、私は20歳位と思っていた、いつまでも子供っぽい所があった勇者が18歳、それより年上に見える。


 料理が出来たとエレナが呼びに来た、マットレスをベッドにセットして夕食のお呼ばれする事にした。

 回復薬が効いたのか、ソウトが「腹がへった」と言いながら席に着いていた。

 料理に時間が掛かっても、食べるのはあっと言う間だ、なぜか、それはエレナの料理が物凄く旨かったからだ。

 焼き立てのパン、牛肉のシチュー、肉入り野菜炒め、どれもすごく旨かった。


 私が30年ほど若ければ、嫁に欲しいくらいエレナは料理上手で家庭的だった。


 明朝牛の世話とか。

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