第4話 ヒナビ村

「エレナさん、このオーガ連れて行って大丈夫だろうか?」

「え~と、オーガに名前を付けてジイちゃんの従魔?と言う事にすれば?」


『主様!われに命名して下さるのか?』

 ワクワク嬉しそうにクイーンオーガが言って来る。

「魔物でも名付けが嬉しいのか?」

『われは魔王軍の四天王なれど、名無しなのだ』

「ん?四天王は全て討伐したはず」

『それは第1から第4四天王で有ろう?われと合わせまだ2人四天王は存在するぞ』

「4人だから四天王だろ?四天王が6人も居ては六天王だろ?」

『魔王軍は細かい事は気にせん、他にも9人の魔王軍十二天が居るぞ』

「いやいや、十二天なら12人だろ!魔王軍は随分いい加減だったのだな」


『主様!われは名前を所望するぞ!』

「・・・私は名付けが苦手なのだ」

「ジイちゃん、アントワってどう?(私が育てた出荷された牛の名前だけど)」

『アントワ!良い!われは気に入ったぞ』

「じゃ、そう言う事でアントワは私の従魔として村長に紹介する」



 エレナさんは、門扉を勝手に開けて村に入り私とアントワも続いて村に入った。

(これ程簡単に出入り出来るとは、門番も居ないし防護柵の意味を成してない、この村は大丈夫なのだろうか?随分開放的な村だ)


 村の広場を抜け普通の家が建ち並ぶ通りを進む、ヒナビ村はもっと寂れた村と聞いたが、可もなく不可もなく裕福でも貧困でも無い、想像と違った普通の村だった。


「ジイちゃん、ここが村長の家だよ」

 村長の家とエレナは言ってるが、周りの家と変わりの無い普通の家だった。

「村長!お客さまだよ!!」

 エレナが大声で呼んで、出てきた村長は40歳位か?意外に若かった。

 村長はアントワを見上げて驚いた様に言った。

「エ、エレナ?」


「村長これは私の従魔で、危険な魔物では無い!私はダイ魔法が得意だ。暫く村に住まわせて欲しいが、どうだ?」

「村に人が増えるのは歓迎だが、そのオーガ、本当に大丈夫なのか?」


『われはアントワ、主様の害になる事はせん!』

「ひっ・・・暴れんなら、村に住んでも良いが、ダイどの家畜の牛を喰わさんでくれ!空家はどれでも自由に使って良い」


 村長が大声で騒ぐもので村人が家からこちらを伺っている、良い機会なので挨拶して置く。

「皆さん!これから村の一員になる、魔法使いのダイです!このオーガは私の従魔でアントワと言います!宜しく!!」


 子供達は好奇心に勝てず、家から飛び出して来た。

「「「「おじいちゃん凄げぇ!!!」」」」

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