第9話 黒江真由 改

アニメ3期の黒江真由に対する私の理解は浅かった、不十分だった。SNSを漁っているうちに伊藤つくし氏の『たいやき姫のひとり旅』というブログに行き着き、そこで考察されていた黒江真由について読ませて頂き、理解が深まった(と私は思っている)。


真由に対する私の感想を改める事になったわけだが、それに関する反省の弁は第4話冒頭に記し、本文にも訂正を入れたのでどうかご容赦頂きたい。


要するに、3期1話~6話における真由と久美子のやり取りについて私の中で印象が薄かったのに加え、12話の衝撃でそういうのが吹っ飛んでしまっていたのである。結論から言って私の中で真由への印象が改まったという所までは行ってない。お陰様で真由の振る舞いが少し理解できるようになりましたという辺りである。詳細は上記ブログに書かれているので省略させて頂き、私が理解できた(つもりになっている)事を以下に書く。


つまり真由の行動心理の軸に久美子への好悪の感情を加えてみると、3期後半での真由の不条理にしか見えない言動(精神攻撃)について少しだけ納得感が生まれ、アニメでの彼女のサイコパス的な一面というのか、好悪感情のねじれによってああいう迷惑行為(精神攻撃)へ彼女を無自覚的に走らせたと見てとる(言い切るのは乱暴過ぎるのだが、そういう要因が関わっていた的に見るという感じ)事ができるようになる、という事である(伊藤つくし氏のブログは3期7話までの考察なので、あくまでその内容を物語後半に当てはめてみると、という前提で私はそう結論した)。


よくよく思い返してみると物語前半、久美子は割と真由を拒絶していた。転校生に接する部長としては、少し冷たいのではと久美子に対して思ったことが確かにあった。ただその感情がどこから来ていたのか、どうも見ていて分かりづらくて、真由にしても秀一や麗奈ほど分かり易く行動するキャラではなかった為に、どうも私の印象は薄く、結果として3期前半における久美子・真由の絡みはどちらかと言えば退屈な印象だった(久美子が部長として、どうやって部の中へ真由を受け入れていくんだろうと見ていたら久美子の方から拒絶してしまい、そういうのを見せてくれるわけではないのか……と肩透かしを食らったような感じだったのである)。


それらへの理解が進んだことで、結論として私が真由を単なる舞台装置としてしか見れないと言ったのは浅はかであった。訂正させて頂きたい。

ただ、それで久美子に対する執拗な精神攻撃を納得できる行動として見れるかというと……やはり否なのである。結局のところ、子供、あるいはサイコパス的と理解してしまうと、ある種どう振る舞っても有りになってしまい、サスペンスに登場する殺人犯というならまだしも、青春群像劇の最終シリーズに登場してきて主人公の積年の悲願を打ち砕くに相応しい、それだけの納得感のある動機を有するキャラだったかというと、やはり否と言わざるを得ない。


しかもその精神攻撃を真由が省みる事が無いまま幕は閉じたわけであり、また久美子から見た真由についても、どうも真由が久美子を想った割には久美子は真由に接近して真由を理解し切るとこまでいかずに話が終わってしまったことは間違いない。演奏に対する執着を見抜いて指摘した所までであり、真由が精神攻撃する程に久美子への愛情を歪めていた(『歪めたから精神攻撃をした』とまで言い切ってしまうのは乱暴だが、とりあえずはそういう方向で見ておく)事までは多分久美子は理解していないし、そこまで真由を理解したいとも思っていなかったのではと思えてならない。


結局冒頭に書いた通りで、何故久美子は真由を拒絶する態度を数回取ったのかの理由が分からないまま終わってしまったと思うのだが……(ここ等辺はまた私が見落としているだけな可能性が高いので見直した方が良さそう)。似てる部分があると久美子が言っていたとは思うが、技術面にも触れていたのだっけ……。


とりあえず私は、あの投票オーディション直前の二人の会話を見ただけではそれまでの真由から久美子への精神攻撃が消化し切れず(久美子側に精神的しこりが残るのではないかなという意味)、かといって物語前半で久美子が真由にとった拒絶もちょっと冷たかったように思うし、だからといってこじらせた真由の精神攻撃は結局逆恨みレベルだろうとも思うし、何だかそこらへんの感情的もつれには手が付かずに物語が終わってしまったのではないか、と思うのである。


それと結局と言うかやはりと言うか、久美子と真由の絡みは印象としては陰というか、悪く言うと昼ドラじみていたというか、見えない、読み取れない部分が多くて、読(視聴)後感が悪かったというのも付け加えておく。


加えてもう1点。SNS等で『過去に真由の友達が口で言ってたのと真逆の行動を最後に取り音楽を辞めていってしまった事が言わば呪いとなり、今回は久美子から言質を取ることに執着してしまった』という見方が示されていた。

しかし、論理的に考えるなら真由の過去において彼女が経験したのは、人は本音と裏腹の事を言う場合があるという事実である。今回の久美子への執拗な確認行為は、まさにその過去の繰り返しになってしまっており、過去にトラウマを負ったのにまた今回も同じ原因行動をしてしまっているわけで、これをもって真由の確認行為が納得できると言われても私には全然理解出来ない。表面的な、つまり人が吐く言葉にばかり気を取られている点が何も成長してないわけで過去の失敗から学んでいない。


やはり私から見たアニメの真由は幼い、もしくはサイコパスは言い過ぎかもだがやや気味悪い執着の仕方をする子という辺りだ。故にその振る舞いに共感できないし魅力を感じ取ることも無い。

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