第4話 黒江真由
黒江真由については詳細に考察してくれている方のブログを見て私の考えが改まった(まで言ってしまえるか悩み中)ので第9話にて改めて書き直すことにしました。少なくとも読み取りが全く不十分であったと思い知ったのと同時に、その不十分を元にした制作者への批判は正しくなかった事を理解し、自身を恥ると共に反省中です。
……恥じて反省をしている最中ですが、真由への印象が改まったという所までは行けてないので、以下の文章もそのまま残し、記述が誤りだったと思う箇所に【】で注記しておくに留めておきます。
*** *** ***
何故アニメ3期の流れに作為性を感じてしまったかの一因として、黒江真由の振る舞いが挙げられる。壊れた機械の如く何度も「私辞退しようか」を繰り返してくる彼女は不快を通り越して気持ち悪かった。
そもそも、そういう振舞は勝負する相手を技術で競うのでなく精神的に揺さぶる行為であり、オーディション前は勿論のことサシで競う場合ならば論外であろう。どうも彼女は少なくとも表面上そういう禁じ手を使っているという自覚が無い体で描かれていたので、悪気はないという話にしたかったのか分からないが、まあ高校三年生でそこまで他人に無関心無神経なキャラを、『総括』を目前に控えているのに周囲の状況に追い詰められており、しかも実力が拮抗している久美子にぶつけてきて負かしてしまう、というのは……。
はっきり言って将来の糧を得ているのではなく、ただの被害者にしか映らなかった。どうも『負け』をより悔しいものにさせる為に(原作の設定を表面的に借りて)非常識キャラを安易に用意したようにしか見えなかった。【安易は誤り。練られてはあった。】奏が発言していたが、論理的に考えるなら辞退を認める・認めないは最終的に顧問達大人が下す判断であって、それを滝先生ではなく対決相手の久美子に、しかも判断すること自体を委ねるという、思考レベルが幼さ過ぎでは表現し切れない不気味さであった。
主人公を苦しめるのは有りだが、やり過ぎるとやはり不自然にしか映らない。キャラクターが舞台装置にしか見えなくなってしまう。枠の外が視界に入ってしまって引き込まれない。【舞台装置にしか見えないは私の理解不足からくる誤りだった。ただ一般的なキャラでなかった為にともすれば制作側に都合良く、しかも機械的に動いてくれているように見えてしまうキャラ設定であったとは今現在も思う】
……しかし何か私が見えていない久美子と真由の心のやり取りが行われていたのだろうか?【あった。私が失念して取り零していただけだった】
まあ真由の過去(SNSに意見があったが久美子への接し方を見ていると真由自身の振る舞いにも非が有ったのではとさえ思えてしまう)を知っただけでは到底認め得ない最早奇行であった。【奇行だったという印象は覆っていない】
久美子が投票オーディション直前の会話で言っていた(そもそもソリを巡ってやり合う二人が直前に椅子に座って会話ということ自体が何だかなあという感じがする。ボクシングの試合前に同じ控室に二人を入れておくようなものではないだろうか)『楽しく演奏したいけど演奏に嘘は付けないんだよね』的な指摘も制作側が久美子に無理矢理フォローさせたように見えてしまった。この場面は言わば真由が今迄の振る舞いの言い訳をできる最後の機会であり、対決の結末が久美子に与えるものこそが本作にとっての目玉である以上、制作側はそれを生み出す過程はフェアに行われたように見せたかったのではないだろうか。【フォローの為だけの場面で無かったのは理解していたがフォローしてる色合いが強いという印象で、そこにしか言及しなかった私の見方は確かに浅かった】
しかしその信条が禁じ手を使って良い理由にはなり得ないのは明らかで、物語の中で真由の禁じ手を正当化できる材料は真由の過去しかない、つまり説得力が無さ過ぎで、改めて薄っぺらいキャラによって久美子の悲願が打ち砕かれたのだなという印象だった。【説得力は少し増したが、それでも足りないというのが現在の印象】
繰り返しになるし、既に各所で指摘され済だが久美子が頼むなら引いても良い(自分のルールに背かずに済む)というものの考え方も、久美子に負債を負わせる行為でしかなく、本当にどうなってんだろうこの子という感じだった。【少なくとも真由が久美子に同じ言葉を繰り返す場面としか見ていなかった】
もっと俯瞰的に「あの子はそういう短所を持つ子だからどうやって接していこうか」的な意志共有を幹部同士でするぐらいの対応が物語の流れとして、久美子に感情移入している視聴者(私)に無駄で不要なストレスを与えずに済んで良かったのではないかと思うが、親身になって久美子に付き添う事を制作者が許したのは奏だけであり、部長としてもがく久美子が後輩に寄り掛かれないのは分かり切っているのに、あそこまで久美子を苦しめる必要があったんだろうか、と非常に残念である。
それにクライマックスという取返しが付かない、挽回しようが無い場面で主人公を負かすのであればこの相手になら負けても仕方ないと思わせるレベルの、敬意を抱けるだけの相手を用意すべきだったのでは、とも思う。他作品を挙げるなら、スラムダンクで海南相手に競り負けるならまだしも、三浦高校に負けてしまった様な、そういう残念な対決(前からの流れも含めて)だったなあという感想である。
また繰り返しになるが、演奏技術を競って切磋琢磨し合ってたのではなく久美子の精神をいかに削るか、久美子がいかに耐えるか(時々奏が援護射撃してくれてたけれど)ばかり見せられていた気がする。そもそも真由は北宇治メンバーとの交流が浅いわけだから演奏しているシーンを描写してもその音以外に何も受け取りようがないというか、だからそういうキャラはもっと深堀しないといけなかったのでは、と思う。【深堀だけでは不十分で分かり易く描いてほしかったという感想に変わった。】
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