戦乙女が戦火の中を颯爽と駆け抜ける作りこまれたファンタジー!
- ★★★ Excellent!!!
本作には魅力的なキャラクターが多いですが、中でも魅力的なのは主人公のセレンでしょう。傭兵らしく颯爽と強く生き抜く彼女には美しいという言葉がよく似合います。なお、お金にがめつい彼女ですが、色々言いながら人を見捨てられないところも人間臭くて魅力的なんですよね。
他にも、様々なキャラクターがそれぞれの理由で戦場に立っています。剣墓のベルガンが個人的に好きですね。現実を知りながら、なんだかんだ精一杯の抗いを続けている……カッコいい!
そんなキャラクター達の生きる重厚な戦場を精緻な描写で余すことなく書いていることには脱帽の念を禁じえません。バトルシーンの描写力の高さはさることながら、戦場を取り巻くそれぞれの思惑を感じさせることで、無慈悲で理不尽な戦場を感じさせてくれます。そして、その描写があるからこそ、戦場の只中を駆け抜けるセレンの美しさがより引き立てられるのです。
正に『地上の戦乙女』の名に偽りない彼女の物語、ぜひご一読しては如何でしょうか?