4.
昔から定期的に床屋にも行かせ
てもらえなかった祥也は、自身で髪を切ることが多かった。ところがある日、大失敗してしまい、クラス中の笑い者にされたトラウマがあり、それ以降、心を閉ざしたことを表すように前髪を伸ばし、視界を遮っていった。
「……どうせ、変な髪型だと笑ってるんだろ」
「そんなわけがねーだろ」
被せるように奴が言うのを、祥也は思わず振り返ると、ビシっと指を差される。
「今までの方が変な髪型だったわけ! 兄貴は普通よりも顔がいいんだから、きちんと髪を整えてやれば、誰もが思わず見惚れてしまういい仕上がりになるんだよっ!」
「……それこそないだろ」
「周りを見てみろっ!」
後頭部をガッと掴まれ、無理やり周りの方へ向けさせられる。
行き交う人達の姿を捉えたが、その中で、屋台を見ながらも時折こちらに熱い視線を向けているような女子二人組、すれ違いざま、ジルヴァや奴のことを言いながらも、視線だけは祥也の方を向いていたが、こちらと視線が合うと甲高い声を上げて、走り去っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます